表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/61

第48話 アルディラ王国から魔族の国 「襲来」

そして激戦


 魔物2300体に対して3万の軍隊。単純計算で、騎士10人で1体の魔物と考えれば圧倒的に軍が勝つだろうな。前衛は騎士が応戦、後衛は魔法士が攻撃魔法で応戦している。これだけ規模が大きいと魔法攻撃で辺りが明るくなる。しかし、攻撃魔法が貧弱で小さいよ。というか、ハネカやユキナ、ファイガの攻撃魔法を見ているからか、とても貧弱に見える。そして、魔物もミノタウロス、サイクロプス、リザードマンナイト、スケルトンジェネラルが多くいたのを見て、魔族はこれを想定していたのかもしれないな。序盤は軍が圧倒的に強いかと思われたが、守りの軍に対して怒涛の攻めの魔物なので、勢いが違う。そして、前衛の騎士の戦いと攻撃魔法で約3割の弱い魔物を倒したが、強い魔物が軍の中になだれ込まれて乱戦になった。そうなると魔法士もうかつに攻撃魔法が打てなくなり、防戦や回復魔法の一方になって、騎士も徐々に倒されていく。さらに、空からは、ポイズンモスやファントムクロウが毒攻撃や麻痺攻撃をしてくるから厄介だな。しかし、軍はまだ負傷していない騎士が2万人以上はいるから多分勝てるだろうね。すると周囲感知をしていたハネカが王国の門を見ながら、


【ミツヒ様、王国に数体の魔物が入りました。魔族もいます】


 それを聞いた俺は、あの魔物の群れはおとりか? と、ファイガに乗ってアルディラ王国に入る。すると、リザードマンジェネラルが町を壊していたので、ファイガに乗ったまま、すれ違いざまに首を撥ねて倒した。走りながら俺は、


(ハネカ、魔族は何処だ?)

【王城の中に入りました、ミツヒ様】


 ファイガに乗ったまま、城に向かい、守っている騎士を飛び越えて中に入るとハネカが周囲感知で察知して、


【ミツヒ様、魔族は大広間にいます】


 俺はそのまま大広間に向かって行くと、扉が開いているのでかまわずに中に入る。見渡すと十数人の騎士が倒れている後ろで、国王と女王が魔物に襲われるところだった。俺はすかさずスロウソードを投げ、魔物を石化する、それを見ていた魔族が窓から外に飛んで逃げ出した。その魔族を追うように窓まで行き、ハネカに飛んで逃げる魔族を魔法攻撃してもらったが、逃げ足も速く間一髪間に合わず、逃げられてしまった。悔しい俺は、


(クソッ! 失態だよ。国王を助けなければ、捕まえられたのに。仕方がない)

【あの魔族はミツヒ様を見てすぐに逃げたので、ミツヒ様を知っているのではないかと】

(ああ、従者も倒しているからね、シバンの通達か何かだな、多分。慎重になっているよ)


 すると大広間のさらに奥で魔物が暴れているらしく、傷を負っている騎士が逃げて来たので、ユキナに行ってもらい、軽く倒してきた。静かになって魔物の気配が無くなると国王が、


「助かった、ミツヒ、よく来てくれた、礼を言う」

「いや、いいですよ別に、俺は魔族を追って来ただけだから」

「どちらにしても助けられたのは事実なのだから、何か褒美を与えよう」

「いらないですよ、国王。で、さっきまでいた魔族は何か言ってましたか?」

「ああ、この王国を明け渡さなければ、次は王都に攻め込むと言っていたよ」


 何かを察知したハネカは、


【ミツヒ様、嘘は言っていませんが、言いたくないのか、何か隠しているようです】


 だが、話しはそれだけだった。そして、国王と王女をよく見ると怪我をしていたので、ハネカにヒールを頼み治してあげた。奥ではあの、偉い人も怪我をしているらしく、ギャーギャー、わめいていたがそれは無視したけどね。

 女王が、朝まで守ってほしいと言って来たが、数人の騎士も来たので断って城を出る。俺達は普通に歩いて城の外に出ると、王国に入った魔物はすでに討伐されたようだな。王国の外に出ると魔物は殲滅されていたが、軍も痛手を負っている。ハネカに聞いて見たら、2300体の魔物は全滅したが、軍は半分の15000人が死亡、8000人が重軽傷との事。

 それを横目にファイガに乗って、城の周囲をまわり、作動しなかった感知魔石を収集してターナの町に帰った。


 また、数日が過ぎてターナの町にも王国の襲撃の詳細が流れて来ていた。が、余計な事に、俺が国王と王女を魔物から守った事まで流れていたので、また英雄扱いになった。余計なお世話なのに。国王の仕業だな、これは。


 ギルドでカルバンさんに、次の赤い満月の日を聞いてみたが、10日以上先で確実な日にちが割り出せるのは、その数日前だと言う。


 俺達は数日を過ごしたのち、ガンドさんの店で追加していた感知魔石をもらって、王都エヴァンに向かい、王都から1キロ程離れた場所の東西南北に魔石を設置して、一路、魔族の国に向かった。

 魔族の国の手前の、俺が薙ぎ払った樹海は再生し始めているが通る事には問題ない。でも、樹木の伐採はいけないな、と、今度は通れるだけの道でも作ろう、いや、魔族に作ってもらおうかな、と思った。

 そして魔族の国に入って、城の中を進み魔王のいる部屋に行くと玉座に座っている魔王が、


「おお、久しいな、ミツヒ。リガエンを嫁にもらいに来たか?」

「だから、なんですぐにそうなるかな。違うよ、次の赤い日は何時だ?」


 椅子に座りながら、肘掛けに肘を立て、指をおでこの横を、トントン、と叩き閃いたように、


「それならあと5日だな」

「5日後の夜だな。それと、カンバルって魔族は知っているか?」

「いや、知らんな。上位魔族なら知っているが、中位以下の魔族は結構いるんでな」

「って事は、中位以下の魔族か。なあ、魔王、魔族は魔族の従者を従えるのか?」

「それはほとんど無いな。まれにはあるが。それがどうかしたか、ミツヒ」

「ああ、シバンの従者と言っていたが倒したよ」

「それは聞いていなかったな。迷惑かけてすまんな」


 そしてまた、泊まって行けと言うので、ここの風呂にも入りたいし、ファイガ達も、ここの肉料理は美味い、と言ってきたので時間もある事だし泊まって行くことにした。部屋に通されユキナ達とマッタリとしているうちに夜になり魔王達と食事をする。ユキナ達はどっさりと盛られた肉料理を、ガッツガッツ、と嬉しそうに食べている。俺はテーブルを挟んで、魔王、女王と向かい合って食べる。横にはリガエンがいて、始めに俺は、これは違うんじゃないのか? とか言ったが、魔王と女王に、お願いだ、とか言われて渋々承諾した。そしてまた凄いのが服装だった。パーティでもないのに着飾った豪華なドレスを着ている。確かにリガエンは美人だしスタイルも良いから似合っているし、それにドレスの割れた胸元からは、はち切れんばかりに収まっている双丘が目を引いてしまうよ。それに気づいたリガエンは、どうだ、と言わんばかりに俺に向いて、料理を俺の口に運んでくる。魔王も「いい嫁になるぞ」とか「お似合いね」とか女王も言って来るが無視したが、リガエンは赤い顔をしていたがウットリと俺を見てとても嬉しそうにしている。その横ではハネカが、さっきからリガエンをぶん殴っているが、拳が素通りしている…………うん、見なかった事にしておこう。


 食事も終わり一度部屋に行き、ファイガ達を部屋に置いて風呂に行く。あの豪勢な金色の獅子の口からお湯が出る風呂だよ。さっそく温まる俺は、


(クァー、やっぱりいいなぁ、この風呂。広いし豪華だしいい湯だし。欲しいな)

【ミツヒ様、あの女魔族は如何いたしますか? 叩き潰しますか? 叩き潰しませんか?】


 俺の横で、フワフワ、と浮かびながら両手を腰に当てて仁王立ちしているハネカ。


(いや、やめておこうな、ハネカ。どうもしないよ)


 ハネカが嫌な顔をしながら、


【あぁー、また入ってきます、ミツヒ様。3人を感知しました】

(はい? 3人ですか? ハネカさん)


 すると奥から人の影が現れてくると、魔王、女王、リガエンの3人が素っ裸で前を隠さずに入って来たのですかさず俺は、


「おいおい、魔王達。前ぐらい隠せよ。って、なんでこんなに広いのに俺の隣に入って来るんだよ」


 堂々とした魔王は、


「何を言っている、ミツヒ。風呂は裸と決まっているであろう」


 まいったな、と思いながら女王をチラ見てしまったよ。いや凄いな大人の魅力ってやつなのか、

 ナイスバディーだ、素晴らしい。それに、リガエンよりグラマーだよ、ちょっと魔王が羨ましく思えた。それに気づいたリガエンは、自分の、たわわなもの、を両手で、ユサユサ、と持ち上げて女王と比べて見ている。それを女王は薄ら笑いで、まだまだね、とかリガエンに言ってるし、なんだかな。でも、本当にこれが恐れられている魔族なのか? まったく信じられないよ。

 すると、何を思ったのか、ハネカが服を脱ごうとしているのを見て、


(おい、ハネカ、何している)

【私もミツヒ様に見ていただこう。と思いました】

(ダメ、ハネカ、それはダメ、止めようね)


 そんなぁ、と言いながらも渋々諦めてくれた。

 しかたなく一緒に風呂に入って、リガエンに背中を流してもらった。でもこの風呂は本当にいい風呂だな、また来よう。部屋に戻って大きなベッドで従来のユキナ達と就寝。何故かハネカはもう消えている。 怒っているのかな?


翌日早朝

 魔王に、また来るよ、と言って魔族の国を後にする。そしてあと4日で赤い満月の日になるので、王都に行ってもいいのだが、気乗りしないので、俺は、王都に近いスマルクの町に向かった。

 スマルクの町に入る時も門番に、チラッ、と見られただけで、どうぞ、と、通される。まったく王国の通達は凄いな。また、従魔の騒ぎも嫌なのでファイガ達は小さくなって一緒に歩いて、マイウ亭に行く。

 マイウ亭に入ると、ゴルドアさんとエフィルさんが厨房で作業をしていたので、


「ゴルドアさん、エフィルさん、帰りました」


 と、声を掛けたら2人が、パタパタ、と出てきて、


「おお、ミツヒ、凄い事をしたな。スマルクの町にも伝わって来てるぞ、英雄だよ」


 エフィルさんも、笑顔で涙を浮かべ、


「ここまで強くなって。ティマル達も天国で喜んでいるわね」

「俺は嫌なんですけどね、仕方がないと諦めます」


 そして、エフィルさんが俺の防具を見て、


「また凄い防具を装着しているわね、ちょっと触らせてね」


 と言って、着ている防具を、サラサラ、と撫でると、


「ドラゴン? 何よこの防具、国宝級の、いえ、それ以上の防具よ」


 と、驚いていたので、ドラゴンに会った事、そしてアースドラゴンの鱗で作ったことの話をすると、さらに驚かれた。そして、


「あと、お土産です」


 オーシヤの町から買って来た新鮮な魚をマジックバッグから取り出すと、


「おお、グロマーとリーブーじゃないか、それも新鮮じゃないか。南の町まで行ったのか、やはり収納はいいな」

「うれしいわ、新鮮な魚なんて何年ぶりかしら、ありがとうね、ミツヒ」


 と、厨房に持って行った。リリは買い物でいないし、カルティさん達は、今回の事で王国に帰ったそうだ。そりゃそうだよな、第3でも王女様なんだから。

 そして、赤い満月の日までの数日間はマイウ亭に滞在を決めた。



数日後、赤い満月の日

 この数日、魚料理は沢山あるものの、肉料理の在庫が少なくなっていたので、商店や露店で肉料理を買い込んだり、のんびりと過ごした俺達は、夕方になって王都エヴァンに向かう。


 王都エヴァンに着き、中に入る時も門番に、チラッ、と見られただけで、どうぞ、と通される。これは楽でいいな、素通りしても大丈夫じゃないか。

 平和な町を見ながら俺はギルドに向かい、中に入ると、リースさんがいた。久しぶりに見るリースさんは、相変わらず綺麗だ。しかし、以前俺の容姿が変わって以来まともに話をしたことが無かったな、と思いながら俺は、


「久しぶりだね、リースさん」

「あ、ミツヒさん、お久しぶりです。髪の色が変わってしまったのですね、それと、ミツヒさんのご活躍の通達が回っていますよ。凄いですね」


 笑顔で答えてくれた。俺は気にする事無く、


「あ、それはいらないからさ、リースさん。それと、ギルドマスターに会いたいんだけどいいかな」

「はい、少しお待ちください」


 王都エヴァンのギルドマスターにあるのは初めてなんだよな。奥の部屋に入って行き、戻ってくるリースさん。ファイガ達と一緒に案内されて部屋に入ると、身長170センチ程で銀髪青目の細身だが剣士風の男が外を見ている。そして、


「初めまして、ミツヒ。私はギルドマスターのアルドアだ、よろしくな」

「ミツヒです」


 ソファに座り、


「君の功績は聞いているよ、大したものだな。で、今日はどうした?」

「町が普通なのがおかしいと思って。魔物の襲来には備えていないのですか?」

「魔物の襲来? 聞いていないよ。それに王国からも通達は来ていない」

「伝達ミスじゃなさそうだし、兵も送れず切り捨てられたのでしょうか」

「まさか、そんな事は無いだろう。ここは王国直下の王都だよ」

「でも、今晩は赤い月が昇りますよ、アルドアさん」


 結局、話もまとまらず、ギルドには通達は無いので動きようも無く、軍も冒険者も集まっていなかった。おかしいな、と思いながら、結局部屋を出てギルドの中にあるテーブル席に座って夜を待つ事にした。


その夜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ