表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/61

第26話 テスタロの町からターナの町

翌日朝

 ゆっくりとベッドから起き上がり朝食を食べに行く。ファイガとユキナは昨晩に食べ過ぎて、まだベッドでまったりと寝ているよ。

 俺は食堂に行き、テーブル席に座るとトライトさんが朝食を運んでくる。今日はブラックボアをステーキより薄いが、香辛料で焼いたものをパンに挟んであり、味付けしてある葉物野菜もしっかり入っている。暖かいパンをサクッと食べると中はジューシーな肉がシャキシャキの野菜と絡み合って美味い。今日も美味しくいただきました。


 朝遅くレイル亭を出てギルドに行くと、ギルドの中は誰もいないが受付にルルナさんとナナルさんが座っている。ルルナさんにギルドマスターのシオンさんをお願いしてもらったら部屋に通された。テーブル席に座って待っていると、シオンさんが入ってきて対面の椅子に座って、


「おはよう、ミツヒ。今日はどうした?」

「はい、シオンさんにお聞きしたいことがありまして」

「なんだ、やっぱり私に気があるのか、もちろん私はオーケーだ」

「違いますよ、ダークエルフの里ってどこにあるか知りませんか?」

「なんだ残念だな。ダークエルフの里か。詳しい事は知らないが、王都エヴァンから南に行った所にターナの町がある。その町から東に行った所にフェリナスの森が広がっている。その何処かに入口があるらしいが、私の知っている中では行った者はいないな」

「フェリナスの森ですか、ありがとうございます」

「ターナの町で詳しい情報が得られるかもしれないよ。もしかして、ダークエルフの里に行くのか? ミツヒ」

「はい、辿り着けるかどうかわかりませんが、行ってみます」

「そうか、難しいと思うが気を付けてな」


 部屋を出て受付のルルナさんに魔石の買取りをお願いし、隣の部屋で小袋に入れた魔石を渡し計算してもらう。内訳を聞き流して金貨318枚を受け取ると、ギルドを出てファイガ達と歩きながら商店と露店で肉を買い込んだよ。そのままレイル亭に帰ってトライトさんに挨拶をしてテスタロの町を出る。門番に証明書を見せたがユキナ達を、チラッ、と見ただけですぐに通された。うん、問題ないようだね。町の外に出て一度テスタロの町を見上げ、王都エヴァンに向かう。途中でユキナ達を影に入れて走り出すと、昼には王都エヴァンを横目に通り過ぎ、青空の広がるいい天気の中を、軽快に走りそのまま道を南へ向かい、馬車で2日かかるターナの町には夕方前に着いた。


 塀で囲まれ3000人程の住人がいて、武器や防具などの商店が多く建ち並んでいる町。西部劇に出てくるような街並みが広がる獣人の町ターナ、またはドワーフが作る武器の町ターナ。

門番に証明書を見せて町の中に入ると、馬車道がまっすぐに伸びている。少し歩いたら宿屋街があったので、


(ハネカ、この町はどの宿屋が良いかな)

【ミツヒ様のお好みですと…………そこのガイルの宿がいいかと】

(そこ? ああ、あった看板にガイルの宿って書いてある)


 宿の中に入ると数人の人と獣人が酒を飲んでいた。すると、奥のカウンターに行くと厨房から女性がパタパタと忙しなく出てきた。身長160センチ程で茶髪茶目で、頭の上には丸い耳があり、グラマーで狸の尻尾が揺れている獣人。


(いらっしゃい、ガイルの宿にようこそ、食事? 宿泊ですか?)

(宿泊2泊朝夕の食事付をお願いします。俺はミツヒ、あと後ろの従魔も)

(女将のケフィルです、よろしくね。後ろの可愛い犬猫なら構わないわよ、私も獣人だしね。従魔の食事は別で1泊金貨1枚だよ、それと、裏にはお湯が湧き出る風呂があるからいつでも入れるわよ)


 金貨2枚を支払い部屋に案内され、中に入ると広めの快適そうな部屋でベッドも大きい。夜には時間があるのでユキナ達にはハネカにクリーンを掛けてもらいベッドで寛ぎ、俺はさっそく風呂に行く。風呂は岩風呂だった。岩風呂の回りも塀の代わりに高い岩で囲まれてあり、それほど大きくはないがいい風呂だ。


(ふぅー、やっぱり風呂はいいなぁ、あー、いい湯だ、さすがハネカ)

【ウフフ、これからどうされますか、ミツヒ様】

(今夜はゆっくりして、明日は情報収集とドワーフの店に行くよ)

【ドワーフですか、武器をお求めになるのですか?】

(いや、テスタロのダンジョンで手に入れたスロウソードと魔剣ギーマサンカの鞘を作ってもらう予定だよ)

【なるほど、畏まりました、ミツヒ様】


 風呂から出て部屋に戻り、マジックバッグから皿を出して肉を盛る。オークの生姜焼きを盛り、喜んで食べるファイガとユキナ。バクバク食べて肉の山がみるみる無くなりお代わりを盛る。今度はホワイトラビットの串焼きタレバージョンを20本ずつ串を抜いて盛る。最後はステーキを10枚ずつ盛ってやり、ハグハグ食べてご満悦のようだ。食後はベッドでまったりとしている。それを見て俺は部屋を出て食堂に行く。カウンターでケフィルさんに食事を注文してテーブル席に座ると分厚いステーキが出てきた。ブラックグリズリーのステーキだ。見た目は厚いがとても柔らかい、香辛料と塩加減のバランスが良く肉の旨味を引き立てている。サクサク切ってモグモグ食べる、うーん、獣人は肉にこだわりがあるのか美味いな。

 夜はベッドで小さいユキナとファイガと仲良く引っ付いて寝る。


(おやすみ、ハネカ)

(ごゆっくりお休みください、ミツヒ様)


翌日朝

 食堂に行くと遅いのか誰もいない。ケフィルさんに挨拶すると、


「おはよう、ミツヒさん、好きな食べ物を選んでね」


 カウンターを見ると食事が並んでいる。果物や肉が並んでいるが、シチューがあったので思わずパンとセットで選んだ。ただ、探してみたがゆで卵がないのが残念だが仕方がないと諦めた。

 それを見ていたケフィルさんが


「何か欲しいものがあるの? ミツヒさん」

「このシチューにゆで卵を入れて食べたいなと」

「あ、なら余りものだけど2個で良かったらどうぞ」


 ゆで卵を貰ってシチューに沈ませテーブル席に着く。ブラックグリズリーの肉が一口サイズでゴロゴロと入って、優しいバーベキューソースで煮詰めてあり、野菜も入っているが獣人なのか少ないが味はやはり美味い。ステーキと違う部位なのか、口の中で肉がホロホロと崩れる様に柔らかく味もしっかりしている。半分を堪能した後はパンをシチューに付け食べると、クニュクニュしたパンの中にシチューの味が染み込んで美味い、いやー美味い。最後は沈めておいたゆで卵をパクリと口に入れてモグモグ、もう一つもパクリ、モグモグ、これだよこれ、とても美味しくいただきました。

 部屋に戻るとユキナとファイガは起きていたが、大きくなって何やらチラ見してくる。

 はいはい、わかりましたよ。と二つの皿を出し、ステーキを5枚だけ出すと嬉しそうに食べ始める。


(1日1食で大丈夫って言っていたのに、そんなに食べて太らないのか?)

(大丈夫です、アグアグその分動きます、ミツヒ様、アグアグ)

(我も大丈夫、モグモグ、です。しっかり動きます、モグモグ)

(なら良いけど……夜はもっと少なくしようか)

((  それは悲しいです、ミツヒ(主)様  ))


 その後ガイルの宿を出て、ケフィルさんに道を教えてもらってギルドに向かう。すぐにギルドが見つかり中に入ると時間が遅いのか誰もいないな。ユキナ達は入口横で座って待っている。俺は奥の受付に女性の獣人が座っているので話をする。カウンターの名札にシアナさんと書かれていた。

 茶色いメイド服身に身長160センチ程で茶色の毛に垂れた耳、椅子の後ろから大きい尻尾が見える犬の獣人だ。可愛い。あー、あの尻尾、ちょっと触ってみたいな。


「いらっしゃいませ、ご用件は」

「はい、初めてターナの町に来たのですが、フェリナスの森の事を教えていただきたいのですが。俺はミツヒ、これが証明書です」

「ミツヒさんですね、フェリナスの森はこのターナの町から東に馬車で2日ほど行った所から先が森の始まりです。ミツヒさんはユエルの森をご存知ですか?」

「はい、知っています。エルフの里があるとかないとか」

「そうですね、このフェリナスの森はとても広く、中に入ると次第に霧が立ち込め、奥に行くほど視界が無くなり方向感覚もおかしくなってきます。その先の何処かにダークエルフの里がある。と伝えられていますが入口が分からず、探しに行って帰って来た者はいません。以前は森の入口付近の果物を採りに行く行商がいましたが、割に合わないので、最近は行く者がいません。以上ですが他にご質問はありますか?」

「やはりダークエルフの里も人が近づくのを嫌がっているのでしょうか」

「それはその里に行った者がいないので、わかりかねます」

「そうですか、話は違いますが、もう一つ聞いていいですか? ドワーフが作る武器や道具のいい店を教えてもらえますか?」

「ギルドの推薦は、この道を南に行くと左側に、ガンドの店、がありますがいかがでしょう」

「そうですか、ありがとうございました」


 ギルドを出て南に行くと、ガンドの店、と書かれた看板があった。店に入ると様々な武器や防具などが陳列されている。ファイガ達は入口の外で伏せて待ってもらって、しばらく眺めていると1人のドワーフが出てきた。


「何か気に行った物はあるか?」

「ああ、いえ、ギルドで聞いて来ました。実は、剣の鞘を作っていただきたいのですが。俺はミツヒです」

「俺はガンドだ。なら、その剣を見せてもらおうか」


 袋からスロウソードを出して見せると、


「珍しいな、魔剣か。投擲用だな。なるほど、契約済みか」

「見ただけでわかるんですか、ガンドさん」

「全てではないが、これでも一端の武器職人だ、それに秘密も厳守するよ、魔剣を欲しがる奴は多いからな」

「秘密厳守ですか、流石ですね」

「ギルドの推薦ももらっているんだ、信頼が無いとやっていけない商売だからな」

「じゃ、もう一振りガンドさんに鞘をお願いします」


 一度店を出てマジックバッグから魔剣ギーマサンカを取り出し、持って店に入る俺。


「この剣の鞘もお願いします、ガンドさん」


 目の色が変わり、手に持ちじっくりと剣を眺めるガンドさん。


「漆黒の剣か、魔剣……だな、見たことは無い剣だが……寸法を取らせてもらうよ」


 と、採寸をし始め、そして、


「スロウソードの鞘は金貨7枚、この魔剣の鞘は金貨16枚だ、ちょっと高いが信頼してくれ」

「はい、お願いします」


 金貨23枚を支払い、今日中に作るから明日朝には出来上がっているとのこと。店を出て町を歩き回り、商店や露店で肉料理を買い込んだ。

 夕方、ガイルの宿に帰り、部屋でユキナとファイガをハネカに、クリーン、を掛けてもらいベッドで寛ぐ。そして俺は風呂に行きユッタリと体を癒してからまた部屋に戻ると、ユキナとファイガが待ちきれないのか大きくなって座って俺を見ている。


(あー、夕食ね、もうちょっと待つようにね)

(待っています、ミツヒ様、私はいつまでも、いつまでも)

(我も待ち続けます、主様、待ちます、待っています)

(それは変な待ち方だな、うん)


 皿にシンプルなステーキ30枚ずつを盛ると、嬉しそうにバクバク、アグアグしている。食べているうちにナイトバードの串焼きを20本ずつ串を抜いて準備し、お代わりを盛り、最後は焼肉の塩焼きを20枚ずつ持って終了。満足したようで小さくなってベッドで寛いでいる。俺は食堂に行きケフィルさんに声を掛けてテーブル席に座るとケフィルさんが夕食を持ってくる。

 あれ? シチューだ、今朝食べたシチューだ。それにパンも。嫌いじゃないからいいけど、ん? 中には肉や野菜と・・・ゆで卵が2個入っている。俺はケフィルさんに目を向けると、狸耳をピコピコさせながら目が合い、ニコッとウインクしてピースサインを出している。あ、朝の俺の食べ方を見てたんだね、いいですよ、いいですよ、どうぞ使ってください。と、シチューを食べ始め、ゴロゴロ、ホクホク、クニュクニュ、モグモグと美味しくいただきました。


 夜はいつものように小さくなったファイガとユキナが俺に密着して就寝。すぐにスヤスヤと寝ているのを見て、毎回思うけどいつも寝つきが早いね、君たちは。と感心する俺。そして俺も就寝。


(おやすみ、ハネカ)

(ごゆっくりお休みください、ミツヒ様)


翌朝早朝


次回も、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ