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第22話 ベルタル山2   「従魔」 

翌日早朝

 食堂に行き朝食を運んできたトライトさんに、1泊追加してもらって金貨1枚を支払った。今日の朝食は、パンだった。見た目普通のパン。しかし、持ってみたら暖かく、中に果実を甘く煮込んでゼリー状にしたものがタップリと入っていた。一口食べると、外はサクサクで中はモッチモチの暖かいパンが果実の甘煮込みと絶妙に美味い。さらに果汁と一緒に食べたら酸味と甘みが、またいい味を出している。うーん、侮っていたよ、恐るべしレイル亭、いや、トライトさんか……オッサンなのに。

 レイル亭を出て、昨日のベルタル山に向かう。昨日の事は忘れてしまったかのように走って荒れ地まで出ると、


(この辺なら誰も来ないから、ここでいいかな)

【はい、そちらの地面が平らなところが良いかと】

(平らなのはこの辺か。で、ハネカ、従魔召還とはどうすればいいかな?)

【ミツヒ様の心の中で、地の底にある闇の中にいるであろう、ミツヒ様に仕えたいと思う従魔と繋がるイメージを念じてください。従魔の姿恰好はわからなくとも繋がるイメージをして念ずれば従魔の方から繋がってきます。繋がったイメージを感じ取って確認したら、ミツヒ様ご自身に引き寄せる感覚で、従魔召還、と強く念じれば魔獣が現れるでしょう】

(なんだか難しそうだけどやってみるよ。イメージねイメージ…………繋がりたい従魔……うーん……あ、俺の胸から2本の光の線が出てきた、あ、伸びて地面の中に入って行く。あ、今何かと繋がった? 今かな?……従魔召還!)


 すると、俺から出ている2本の光の線が、10m程先で折れ曲がり地面に入り込んでいる所に5m程の大きさの魔方陣が展開される。するとその魔方陣の中央が、ポッカリ、と1m程の穴が空いて。

 黒い影が出て……引っ込む。

 今度は銀色の影が出てきて……引っ込む。

大きい魔獣のようだが、まだよくわからない。

 また黒い影が出て、いや、よく見ると黒い毛だ。黒っぽい顔を出したようだが引っ込む。今度は銀色の影ではなく銀の毛だ。やはり銀色の顔を出したが引っ込む、何しているのかわからずに少し近づくと、念話の話し声が聞こえた。


(我が先に召還されたんだ)

 と男の声で黒い顔を出したが、すぐ後ろから銀色の獣の手で顔を押し戻される


(違います、私が先です) 

 と女の声で銀色の顔を出したが、さっきと同じように黒い獣の手で顔を押し戻される。


 すると、今度は銀色の尻尾から後ずさりするように穴から登って出てきたが、引っ張られるように戻り、次に黒っぽい尻尾から後ずさりするように出てきたが、また戻る。


(何をする、このバカ猫!)と黒い毛

(そっちこそ、このバカ犬!)と銀色の毛

(我が!)(私が!)と、


 魔方陣の、ポッカリ、空いた出入り口付近で顔を出しちゃ戻され、尻尾を出しちゃ戻され。何をしているのか。それを見ている俺は、


(なあ、ハネカ、あれは何やっているんだ?)

【もう少し強く念じて見ては如何でしょうか、ミツヒ様】

(わかった……うーん強く……あ、さっきより光の線が太くなったかな? よし、もう一度だ。従魔召還!)


 すると、展開していた魔方陣が一回り大きくなり、ピカッ、強く光ったと同時に、ボフンッボフンッ、と2体の魔獣が召還してきた。


(2体?従魔召還って、普通は1体じゃないのか?)

【そうですね普通は1体です。ですが2体とは珍しいですね、その魔獣はそれだけ自分が先にミツヒ様に召還して欲しかったのでしょう】

(出て来たものは仕方がないな、近寄ってみようか)


 近づくと魔方陣は効力が無くなったのか、スゥ、と消えていく。そこには黒っぽい魔獣と銀色の魔獣が座って俺を見ている。


(初めまして、召還された魔獣たち、俺はミツヒ)

(初めてお会いします、主様、お会いできて光栄です)と黒っぽい魔獣

(初めましてミツヒ様、お会いしたく参上しました)と銀色の魔獣

【黒い狼はフレイムウルフ、オス、炎と雷の魔法を得意とします。銀色の猫はフロストタイガー、メス、氷と雪の魔法を得意とします。両魔獣ともに魔獣の中では最強です】

(最強なの? 凄い魔獣だな。大丈夫かな)

【ミツヒ様の従魔ですから、全く問題ありません】


 1体は体長4m程、体高1.5m程の艶やかな漆黒の毛に白い毛がちらほらと斑に生え、良い毛並みをし、フサフサの尾を持った凛々しい、フレイムウルフ。

 もう1体は、体長は狼より少しだけ小さいが、透き通った様な銀色の毛を持ち、しなやかな尾を持った冷たくも美しい、フロストタイガー。

 どちらも強そうだよ、いや、最強だから強いんだね。そして俺は、


(なあハネカ、この2体、ずっと黙っているけど元気が無いのかな)

【まず、召還された魔獣には名前をつけます、ミツヒ様。それからです】

(そうか名前ね、了解。フレイムウルフは男か、雷、炎魔法……炎……ファイア……ファイガ、良し、お前の名はファイガだ。フロストタイガーは女、氷雪魔法……雪……スノー……ゆき……ユキナ、うん、ユキナが良いな、これからお前の名はユキナだ)

(承りました、名付けていただきありがとうございます、ミツヒ様)

(名付けていただきありがとうございます、主様)

(( ハネカ様もよろしくお願いします ))

【ウフフ、よろしく、仲良くしましょう】

(そうか、ハネカからスキルを貰ったから魔獣とも繋がっているんだね)

【それと、もう一つあります。それは、私がミツヒ様の心眼だからです】


 やっと、召還式から解放されたのか2体は俺にすり寄ってくる、すり寄ってくる巨体、デカい体に揉まれる様になる俺。喜んですり寄っているデカい2体の魔獣。しばしフッサフサの毛と顔に揉まれる舐められるスキンシップタイム…………数分後。


(で、落ち着いたところで、聞きたいんだけど、なんで召還に2体が同時だったんだ?)

( あれは犬が!)

( あれは猫が!)

【それは私が説明いたしましょう。従魔召還は1体が普通ですが、ミツヒ様の従魔になりたいと2体が心待ちに待っていました。召還に複数体の従魔がいた場合は、主人に召還されたい従魔の中から、強い魔獣、から出てきます。しかし今回は甲乙つけられない強さの2体。さらに次の従魔召還まで待てない、いえ、もし従魔召還がこれっきりだったら次は無い。と考え、このような事が起きたのではないかと】

(( その通りです ))

(それで魔方陣の中で揉めてたんだね。でもよく2体も召還できたな)

【それはミツヒ様のスキルの力が高かったのと魔獣との繋がりが、より強かったためと思われます】

(我は主様に仕えたく思っておりました)とファイガ

(私もミツヒ様にお会いしたく思っておりました)とユキナ

(ありがとう、よろしくな。それはそれでいいとして、これからどうする? 宿は無理じゃないかこの巨体は。それに町中を歩くのにも注目されるし騒ぎにならないかな)

(ご心配無用です、主様)とファイガ

(ご心配おかけしません、ミツヒ様)とユキナ


 すると、ボフンッボフンッ、と体長60センチ程の黒い犬と体長50センチ程の銀色の猫に変身した。どちらも凄く可愛いく変身したよ。


(これでいいですか、あるじさま)とファイガ

(これでいいでしょうか、みつひさま)とユキナ

(ああ、これなら町中でも大丈夫だよ、あとは宿だな。従魔が泊まれる宿に変更しないと)

【それも問題ありません、ミツヒ様。ファイガ、ユキナ、中へ】


 すると、知っているようにファイガとユキナが俺の影に、スッ、と吸い込まれるように入って消えた。


【魔力はほんの微量だけ使いますが、使ったと言えない程で全く問題はありません、ミツヒ様】

(おお、いいね、これなら今までと同じように行動出来るよ、さっそくテスタロの町に戻ってダンジョンの準備をしようか)


 ベルタル山の荒れ地を走り、森の中も何も無いように走りテスタロの町に戻る。門番に証明書を見せ町に入ると、商店で布団や毛布、直径50センチ程の木の器などを買い込んで人目の無い所でマジックバッグに入れる。

 その足でギルドに向かい、ルルナさんに従魔の登録について尋ねたら、いくつかの試験があり合格すれば登録できるとの事。話を聞いてギルドを出てレイル亭に帰る途中で、


(なあ、ハネカ。ファイガ達は何を食べるんだ? 魔獣だから生肉か?)

【ええ、そうです、主に獣や魔物の生肉です、ミツヒ様】

(そうだよな、商店で生肉を買っておこうか)

【ミツヒ様、影からユキナが呼んでいます】


 俺は人の気配が無い所で立ち止まり、気配感知で周囲を確認したら、影からユキナとファイガを出して、


(おねがいがかなうのであれば、みつひさまがたべているものがいいです)

(われも、なまにくでもいいのですが、りょうりしたものがたべてみたいです)

【魔獣の生活では生肉ばかりだから料理したものを食べたいのでしょう】

(了解したよ、ファイガとユキナの分も用意しておくよ)

(( ありがとうございます、みつひ(あるじ)さま ))


 嬉しそうに影に隠れた後、その足で商店や露店を歩き回り、大量の肉料理を購入した。

 レイル亭に帰って部屋に入り従魔を出す。影から、スッ、と出てくるファイガとユキナ。


 俺はマジックバッグから木の器を2個出し、続けてボアのステーキを10枚ずつ乗せると、


(一寸狭いけど元に戻って食べていいよ、吠えなければ念話だから大丈夫だろうし)


 ボフンッボフンッ、と戻ったのはいいが急に狭くなる部屋。でも俺がベッドの上に移動すれば何とかなるな。


(熱いから気を付けて食べるんだよ、まだいっぱいあるからゆっくり食べな)

すると、初めての料理に、ファイガとユキナは、


(これがステーキですか、主様、美味い! これは美味い! ハグハグ)

(あつ、あつ、でも美味しいです、美味しいです、ミツヒ様、アグアグ)


 バクバク食べて、ステーキ10枚があっという間に無くなり、追加で同じステーキを10枚ずつ盛ると、美味しい美味しい、とバクバク食べてまた無くなる。

 申し訳なさそうに、チラッ、と上目使いに俺を見るファイガとユキナ。いいよいいよまだあるよ、とステーキはまだあるけど、今度はホワイトラビットの串焼きを20本ずつ串を抜いて皿に乗せる。これも美味い美味いと、ペロッ、と食べて満足したようだ。その器に水を入れて飲んで完食。

 この巨体だから足りなくなると困るな、肉をもっと買っておこう。その後、ボフンッボフンッ、と小さくなって俺の影に入る。

 そして俺は風呂に行く、とにかく風呂だ。湯船で温まり、打たせ湯で揉み解し十分に満喫。

 そして食堂に入り、空いているテーブル席に座ると、トライトさんが食事を持ってくる。

 今日の料理はから揚げだ、ロックバードのから揚げだった。3つの器に色の違うから揚げがコンモリと盛られている。白いから揚げは素揚げだ。サクサクとジューシーとで肉の旨味だけだが美味しい。次は少し焦げ色がついているから揚げだ。サクサクとジューシーは同じだが出汁にでも付け込んでいるのか濃い味付けがしてあり美味い!最後は黄色っぽい白のから揚げだ。これには柑橘系の果汁が絞ってあり肉の旨味と塩加減が良い味出していて、サッパリとして美味い。あいつらと同じようにバクバク食べたよ。やはり凄いなレイル亭のトライトさん、ほんとオッサンなのに。

部屋に戻ってベッドに座りファイガとユキナを影から出すと、


(ファイガとユキナのステータス見せてもらうよ)

(( どうぞごらんください ))


 ステータス

【 名 前 】 ファイガ

【 年 齢 】 160

【 種 族 】 フレイムウルフ

【 称 号 】 ミツヒの従魔

【 体 力 】 990000

【 魔 力 】 990000

【 魔 法 】 攻撃魔法 炎撃魔法 ファイヤランス連射

                  フルフレイム ヘルフレイム

             雷撃魔法 ライトニング連射

                  サンダーストーム

                  サンダートルネード

        回復魔法 ヒール 

【 攻 撃 】 爪斬

【 スキル 】 毒耐性 麻痺耐性 石化耐性 幻影耐性 呪耐性 爪風




 ステータス

【 名 前 】 ユキナ

【 年 齢 】 150

【 種 族 】 フロストタイガー

【 称 号 】 ミツヒの従魔

【 体 力 】 990000

【 魔 力 】 990000

【 魔 法 】 攻撃魔法 氷雪魔法 アイスランス連射

                  アイスランスブリザード 

                  アブソリュートゼロ

                  アイスカッター

             爆撃魔法 エクスプロージョン

        回復魔法 ヒール 

【 攻 撃 】 爪斬

【 スキル 】 毒耐性 麻痺耐性 石化耐性 幻影耐性 呪耐性 爪風


(なるほどね、こりゃ強いや。ん、このスキルの爪風って何)

【風魔法のウインドカッターと同じです、ミツヒ様】

(スキルでも魔法並みのことが出来るのか、凄いね、これから心強いよ)


 夜はファイガとユキナを影から出したまま一緒にベッドで寝た。「フカフカー」とか「きもちいいー」とか言ってスウスウ寝たよ。

 その寝顔を見ながら俺も、あっ、という間に爆睡していた。


【あぁ、そんな、ミツヒ様、しくしく、ごゆっくりお休みくださぃ……】


翌日早朝

次回も、よろしくお願いします。

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