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第20話 テスタロの町   「下調べ」

よろしくお願いします。

翌日早朝

 そっと起きて静かにマイウ亭を出る。昨夜のうちにゴルドアさんとエフィルさんとリリに、朝早く出るので挨拶をしておいたからね。リリは涙目になっていたが、また帰ってくる約束をしたよ。カルティさん達には申し訳ないが挨拶は出来なかったので、エフィルさんに、よろしく、と伝えてもらうお願いをしたので大丈夫だろう。

 薄暗い中、スマルクの町の門を出て、すぐに王都エヴァンに向かって走り出す。明るくなり始めた頃、王都エヴァンを横目に通り過ぎ、その西にあるテスタロの町に向かう。エヴァンから馬車で2日かかるが、快適に走り昼には着いた。

 テスタロの町はエントアの町と同じように高い塀が町を囲っているが規模が少し大きい。住人は3000人程が住んでいる、さらに300人程の冒険者やダンジョン攻略者などが多く滞在していて宿も豊富で、ズラッ、と並んで活気がある。その町の西側にダンジョンがあり、そこから塀で囲まれて街並みが広がっている要塞都市のような町。


 門番に証明書を見せて町に入るとまずは宿探しを始める。宿屋街を歩くこと少しして、


(選ぶとなるとやっぱり風呂だよな、でもどの宿屋が良いんだか)

【宜しければ私がお選びしましょうか、ミツヒ様】

(え? ハネカが宿を? じゃ、お願いするよ)

【畏まりました、過去に入った風呂で、ミツヒ様が気持ちよく入られていた風呂に近い宿は……! そこのレイル亭が良いかと】

(あの点滅しているところか。うん、レイル亭の看板があるな)


 宿の造りはどこも同じような2階建で入口に入ると食堂兼酒場になっている。奥のカウンターで宿泊を希望すると、中から身長は160センチ程で金髪青目、中肉中背の普通のオッサンが出てきた。1泊朝夕食事付で金貨1枚だったので2泊をお願いして金貨2枚を支払う。


「ミツヒですよろしくお願いします」

「レイル亭のトライトだ、よろしく、ミツヒ。この宿の売りは風呂だ、広くて清潔で評判がいいんだ。勿論飯も美味いさ、気に入るよ」


 案内された部屋に入って、昼間ではあったがさっそく評判がいいと言う風呂に行く。

 風呂は塀の仕切りで囲われていて、屋根はやっぱり無いな。エントアの町のミネストの宿と同じ造りだが、違うのは風呂の奥に細い滝が数本等間隔である、高さ2m程の、打たせ湯、があった。俺はまず風呂に浸かって、


(ふぅ~、いい湯だ、さすがハネカ、良い宿を選んだね)

【ウフフ、ありがとうございます、ミツヒ様】


 温まったところで打たせ湯に当たる。肩の辺りに、バシャバシャ、とお湯の滝が落ちると、


(くぁ~、これはいいぞ、気持ちいいなぁ、今度は反対の肩にっと、くーっ、肩がほぐれるようだ)

【お気に戴けて何よりです、ミツヒ様】

(最高だよ、ハネカ。今度からはハネカに宿選びを頼むよ)

【承りました、ミツヒ様。私の命に代えても】

(いやいや、ハネカさん、そこまでしなくていいからさ)

【そうですか、畏まりました、ミツヒ様】


 暫く風呂に入ったり、打たせ湯に当たったりを繰り返して、心身ともに癒された。いやー、レイル亭は当たりだね、さすがハネカ。

 風呂から出て部屋に戻ると、


(いやー、いい湯だった。昼間だから誰もいないし言う事無しだよ)

【これからどういたしますか、ミツヒ様】

(そうだな、ギルドに行ってこの町のダンジョンについて聞いて来ようかな)


 レイル亭から出て街道を西に進むとギルドがある。俺はギルドの正面に着いて道なりにその奥を見てみると、ギルドからさらに西に200m程行った所にダンジョンの入口が見え、手前の道には露店が並んでいて賑やかだった。ギルドの入口に入ると昼間だからか誰もいないな。中を進んで行くと壁に貼り付けてある依頼の掲示板などの情報を横目に受付に行く。受付には2人の女性が座っているが、2人共そっくりな双子だった。名前がルルナさんとナナルさんと受付に書かれていた。

 2人は紫の髪をツインテールにしている、身長は150センチ程だろう、唯一違うのは目だ。

 青目がルルナさん、赤目がナナルさん。胸は……多分幼いのだろう2人共、ペタン。それを感じたハネカが、


【ミツヒ様、この受付の女二人は幼くありません、胸が無いことに非常に劣等感を持っています、それだけの事です】

(ハネカさん? それは言わなくていいからさ)

「いらっしゃいませ、その目線は、とても悲しい酷いことを考えていませんか? 気にしませんけど、ダンジョン攻略ですか?」

「は? い、いいえ、何も。テスタロの町のダンジョンは、初めてなので説明が聞きたいのですが」

「どちらかのダンジョンの経験はございますか?」

「エントアの町のダンジョンに数か月入っていました」

「エントアのダンジョンですか、畏まりました、ではご説明します。このダンジョンは30階層で出来ています。各層に魔物が出ますが、強さや手ごわさはエントアのダンジョンに習ってください、

魔物も倒すとドロップされますが、エントアと同じく、いつもではありませんのでご注意ください。20階層では、通路を守っている魔物の長がいますので倒さないと下に行けません。

30階層の最深部ではこのダンジョンの長がいますので倒せば攻略となります。

ダンジョンから出るには入って来た通路を戻る方法と、他に5階層、10階層、15階層、20階層のセーフエリアからの転移で1階層の入口横の穴へ、そして最深部の長を倒し攻略出来た時の30階層の転移ポイントからダンジョン入口横の穴に転移出来る仕組みになっています。

現在到達している最高階層は10人パーティの20階層までで、この20年は攻略されていません。登録も買取りもエントアに同じです。以上です。」

「20階層から30階層までのセーフエリアは?」

「あるかもしれませんが無いかもしれません、20年前の記録が無いので。そして、20階層から25階層にたどり着いてセーフエリアが無ければそのまま最深部に行くか、一度20階層まで戻るか、行くも帰るも、とても過酷な判断になりますので」

「なるほど、ありがとうございました。あと、ここのではありませんが魔石の買取りをお願いします。冒険者ではないので証明書です、これです」

「畏まりました、ミツヒさんですね、隣の部屋に言って魔石をテーブルに出してください」


 俺は隣の部屋に入って、テーブルに魔石の入った小袋を置く、これはマジックバッグに入れてあった2袋の魔石を6つの小さい袋に分けた物の一つだ。このくらいの量にして買取り依頼すれば問題は無いだろう。ルルナさんが来て魔石を確認し、


「はい、では少しお待ちください」


 奥に魔石を持っていき、少し待ってルルナさんが戻って来た。

 ルルナさんが、魔石の種類を振り分けて判別し買取り価格の話をしていたが、面倒なので聞いている振りをして聞き流す。


「以上で、金貨217枚になります」

「はい、お願いします、ルルナさん」


 金貨217枚を受け取り背負い袋に入れる。

 買取り部屋から出てして掲示板を見に行くと、ベルタル山のワイバーンに関する事が無いか探したがこれと言って書いて無かった。そうこうしていると夕方になっていたのでギルドを出てレイル亭に帰る。


 レイル亭に着いたらまた風呂に入り楽しんだよ。そして食堂に行き、混んではいたが空いているテーブル席に座って待つと、トライトさんが夕食を運んできた。

 料理はブラックフィッシュの塩焼きとレッドサーモンの切り身のバター炒めだ。ブラックフィッシュの塩焼きは体長30センチ程の白身で淡白だが塩が旨味を引き出していて美味い。レッドサーモンのバター炒めは、2センチ程の厚さに切った切り身を香辛料とニンニクで香ばしく炒めてありこれも美味い。ホクホクとアツアツで堪能した、うん、夕食も美味いし、いいなレイル亭。

 帰り際にトライトさんに、何処の魚か聞いたところ、ずっと遠い南の町で獲れた魚らしい。生きたままでは無理なので、ごくまれに塩漬けの魚が手に入ると言う。今日の魚も塩漬けを湯で戻し塩抜きして料理した魚で、商人に依頼して遠い町から買って来た魚だと言っていた。遠い南の町かぁ、新鮮な魚も食べてみたいな。うん、期会があったら行ってみようかな。

 部屋に戻り、ベッドに横になるとハネカが、


【明日は、如何なされますか?ミツヒ様】

(うん、明日はベルタル山に行ってみようと思う。ワイバーンも見てみたいし)

【そのまま討伐なさっては如何かと】

(ま、行ってみてからだね、初めてだし。よろしくハネカ、おやすみ)

【畏まりました、ごゆっくりお休みください。ミツヒ様】


翌日早朝


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