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「ジョンは私をどうするの。殺すの、捕まえるの……」
「ジェーン、僕は君を殺すために来たわけじゃない。捕まえるわけでもない。ただ、僕は君に伝えたかった」
ジェーンは何も言わない。
「僕はこの世界がユートピアだろうとディストピアだろうと構わない。僕は、ジェーンのいる世界にいたい」
ユートピアだろうとアルカディアだろうとディストピアだろうと。
「昔風のプロポーズをありがとう、ジョン。でも私はきっと、ユートピアにもアルカディアにも行けない存在。でも後悔はしていない。これで、世界がアルカディアになるのなら、みんな自分は自分だ、って胸を張って言えるようになるのなら、私は自分がアルカディアに行けなくたってかまわない。だって私は、胸を張って言える自分と言うものがないのだから。私には本名がないのだから。ねぇ、ジョン」
ジェーンは僕を真っ直ぐに見据え、悪戯っぽく笑いながら、
「あなたの名前を、教えてくれる」
僕は、
「僕の名前は―――」




