04
アリスがシステムログを開いて保護システムにアクセスした人物を追う。それを僕は冷めた気持ちで眺めていた。きっと徒労だろうから。ジェーンの情報はそこにはないから。誰か別な人の情報が出て、ジェーンにはたどり着けないだろうから。
それでもアルトゥールも、ダンプティも、緊張した表情でアリスを見守っている。
「出ました。でも、これは……」
「どこのどいつだ。情報を抜いたやつってのは」
「ダンプティも落ち着いて。最後にアクセスしたのは、ジョージ・シンプソン。でも彼は、その……二十年前にすでに他界しています」
「ばかな」
珍しく声を荒げたのはアルトゥールだった。彼の顔は真っ青に染まっていて血の気がない。
「ばかな、そんなばかな。何かの間違いだろう。そんな、そんなはずは」
「死人がアクセスしたってか。アルトゥールも幽霊は苦手かい」
「ダンプティ、この状況で茶化すのはよせ」
僕がたしなめるけれどダンプティはどこ吹く風だ。
「彼は、その名前は、ジョージ・シンプソンは、わたしの祖父だ」
「アルトゥールのおじいさまは実はなくなっておらず、今もどこかで生きている、と」
アリスがそう疑問をぶつける。しかしアルトゥールは力なく首を横に振った。
「いや、わたしの祖父は死んだ。確かに。わたしはこの目で祖父が亡くなったのを確認した。わたしの祖父は、わたしと、わたしの家族と、そして祖父の担当医の目の前で息を引き取ったよ」
「では誰かがおじいさまのナノチップを使って、いえ、名前がわからなければそもそも認証できないからやはり本人が」
「いや、それはあるかもしれない。私の祖父に埋め込まれていたのは、今のナノチップとは少々違ったものだった」
「どういうことですか」




