02
『私は、先日CISの個人情報保護システムから、みなさんのデータを抜き取りました。その信ぴょう性は今こうしてあなたのナノチップに回線をつなげられていることからお分かりになると思います。
この回線は、あなたのナノチップに強制的に送られています。あなたには、回線を閉じることも、耳をふさぐこともできません。
今、あなたたちの個人情報は、全て私の手の中にあります。ですが、怖がることは何もありません。あなたたちの個人情報を持っているのが、保護システムだけでなく、私もである。たったこれだけのことなのです。
私は五日後、この個人情報をランダムにあなたたちのナノチップへと送ります。あなたたちは知らない誰かの名前を有し、知らない誰かとなって生きていくのです。私は自分のナノチップに命令するだけで、すぐにそれができるのです。
でもそれはあなたたちにとっては些細な問題のはずです。なぜならあなたたちは今までずっと、本当の自分を隠して、偽りの名前でもって、偽りの自分として生きてきたのですから。
それでも、私を止めたいと思うかもしれません。私を憎いと思うかもしれません。それがあなたたちの本当の感情なのです。自分ではない誰かになるよりも、今まで通りの自分でいたいという感情を、私はあなたたちに思い出してほしいのです。
この中に、自分以外の誰かになるのを嫌だと思う人がいるのなら、今から五日間以内に、あなたたちの住む地域のLISを、CISを壊滅させてください。今まで本当の自分を覆い隠してきた元凶を、今まで本当の自分として生きさせてくれなかった元凶を、壊滅させてください。そうして、あなたたちは本当の自分を、取り戻すのです』




