part3, eutopia
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Sex:{male}
Age:{32}
State:{CIS staff}
Pass:{*******-173}
Access:{writing pad}
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Number:1
あれから何度試してみてもジェーンに回線がつながることはなかった。僕が今点検をしているこの保護システムの中にも、ジェーンはいない。本名がないから、保護システムには存在しない。
あるいは、もうすでにどこかで死んでしまっているのかもしれない。この世界を憎みすぎてしまって。あまり考えたくはないけれど。
保護システムのどこにもエラーが出ていないことを確認し、僕は点検を終える。
以前のような行方不明者の捜索や、恋人の浮気調査など、保護システムを使うような仕事も入らず、点検と、そのチェックリストを書き終えてしまえばほとんど待機状態だった。
さっきまで僕と点検をしていたダンプティは、先ほどアルトゥールに何か仕事を頼まれたのだろう、他の部署へと消えていった。
僕はまたジェーンに回線をつなげてみようとしたけれど、やはりそれはいつも通りつながらないままだった。
だから、それは僕にとって最大の驚きだった。僕のナノチップが誰かと回線をつなぎ、その声の主はまぎれもないジェーンの物だったのだから。
僕はジェーンと話そうとしたけれど、ジェーンはまるで僕の声なんか聞こえないかのように、そして、まるで僕と話しているのではないかのように、たんたんと、自分の言葉を切らさない。




