これが噂のもふもふですか⁈
「どうしてこんなことに…」
一人の女性が涙を流している。
「チュンチュン」
顔に窓の木の隙間から漏れる光が当たり、浮上していた意識は鳥の声を聞き覚醒した。
「何か夢に見ていた気がするんだけどな〜」
寝ぼけた頭で周りを見渡すと知らない部屋にいた。
「ここ何処?誘拐?……異世界トリップしたんだった」
明は布団から起き上がると光に照らされた埃が見えた。
「よくこんな所に寝れたもんだ。昨日はこの家に着いた後の記憶がない…」
コンコン
窓に何かが当たる音がしてそちらに顔を向けると茶色い影が見えた。窓を開けてみるとその影は居なくなっていたが胡桃のようなごつごつとした丸い木の実が置いてあった。
「何だろう?」
訝しんでいると視界の端で茶色いものが蠢くのが見える。体の割に大きな尻尾を持っていてリスの様だった。
「チュチュ」
家の端の方まで行き穴を掘り始めた。
「これくれるの?」
リスは明をじっと見ては土を掘り起こす。
「何だろう?……あ‼︎埋めるの?」
「チュ」
返事のようにリスは声を出す。
明は靴を履き家から出てリスの元へ行く。リスは同じ所にいて埋める場所を教えるように掘っていた所をクルクル回っている。
「ありがとう。大切に育てるからね」
しっかり土を被せたのを確認するとリスは明の手にふわふわの身体を擦りつけ一鳴きして今植えた場所の周りを一周して、家の周りを囲む柵の向こうに行ってしまった。
「可愛かったな〜また会えると良いんだけど」
朝一番で可愛い動物との刹那はとても明を和ませてくれた。
今週から月水金更新になります