山小屋発見
あの異形たちがいつ戻ってくるかわからないため明は川の流れに沿って歩みを進める。
しばらく歩くと川に一本の橋がかかっていた。
「橋があるってことは使う人がいるってことだよね」
日もだいぶ傾き、逃げ回ったため疲れた体に鞭をうち、橋を渡ると小高い丘の上に一件の家を見つけた。
「だれか住んでいるかも!!」
橋の袂から石畳の道が続いており、赤い煉瓦の屋根に白い壁の家だった。石畳の周りには雑草が生えていたが石畳の終わりにドアが有り其処に一枚の紙が貼られていた。
『もしこの家に辿り着いた者がいたらこの家を自由に使って下さい。少しの予備食もあります。』
「なんて言う幸運なんだろう。もう日も暮れ始めているからお言葉に甘えさせてもらおう」
ドアノブを回すと外と同様に室内は薄暗かった。やや埃が溜まっているがつい最近まで使用していて綺麗にして出て行った様な感じがした。外から見た時見た窓を開けるものあまり室内は明るくならなかった。
「暖炉があるんだ。素敵な家なんだろうけど良く見えないな。昔、石器時代の暮らし体験で火起こしの仕方とか習ったけど…木を擦る力なんて残ってないよ。今日はただただ眠たい…」
此方の世界に来てからずっと歩き続けた身体的限界と環境の変化からくる疲れが出てしまったようだ。
入り口から左にあるドアを開けると幸運にもベッドがあり、呼ばれるように身体を横たえた。その際舞い上がった埃など気にならないほど直ぐに夢の世界に旅立ったのであった。