いざ異世界‼︎…いきなり食べられそうです
「ここは…?」
気がつくと鬱蒼とした森の中にいた。
「そうだ。異世界トリップしたんだった。」
自分の姿を見るとTシャツにジーンズにスニーカーとおおよそ女性らしくない閻魔様とあった時と同じ格好をしていた。
「10歳若返ると言ってたけど…細やかな胸も肩までの黒い髪はあまり変わってないかな。身長はやや縮んだかなぁ?肌のキメとかは…うん若いって素晴らしいね」
一通り自分の状態を確認し終える。
「この薄暗い森だと独り言でも言ってないとやってられないよ〜。どっち向かって歩けば良いんだろう…。…女は度胸だ‼︎」
鬱蒼とした森は僅かな光しか通してくれず、時間も方向も知らせてはくれない。
「まず水辺を探そう。水があれば何日か生きていけるし水辺の近くには人里もあるって聞いたことあるし」
何かに掻き立てられるように歩みを進める。
水辺の音を聞き逃さないように耳をすませて歩くと風の音以外に不気味な音を拾ってしまう。
何かが木々を折りながら進むような様な音が段々と近ずいてくる。
明はやや小走りになって森の道を進むも音は明よりも速い。
後ろを振り返ると赤い目をした熊ほどの大きさがあるモノが何かを探しながらこちらに近ずいてくる。明はやや道を逸れて音を立てない様走り出した。
「なんなの〜食べられちゃうよ〜。剣は使えないし、魔法?魔法を使えってゆうフラグなの?」
一度立ち止まり、追いかけてくるモノを見つめ…
「ファイヤー…出ないじゃん。ウォーター…フリーズ…レイズ…メテオ…ウンディーネ…イフリート…ゴブリン…何もできないよ〜」
匂いを嗅いでいたモノは此方を見た。
「きちゃったよ〜どうしよう‼︎このまままっすぐ来たら追いつかれちゃう…あれ?もしかして」
周りを見渡し登りやすそうな木を発見する。
「泥んこまみれで遊んだ保育園時代、猿と言われた姿を思い出せ‼︎」
幹に足を掛けよじ登る…よじ登る。
ズルズルと何度か落ちてしまったもののなんとか身体を預けられるほどの枝にたどり着くことができた。
熊の様なモノは明の居る木までくるとその周りをくるくると回り始めた。
「やっぱりあいつ匂いを嗅いで来ていたんだ。はやく諦めて…」
祈る様にしているも熊の様なモノは木に前足をかけた。
「木に登れるの⁈…何か投げるもの…この木、木の実なんてつけるんだ。これあげるからどっか行って‼︎」
熊の様なモノに明は林檎ほどの大きさの木の実を投げつける。
熊の様なものモノは木から前足を外し自分にぶつかったモノを探し食べた。
「ぶをーーーー」
大きな雄叫びを上げ熊の様なモノは走って行った。
「助かったよ〜〜」