挨拶
アンティークのゴールドマリーさん
愛に生きる人形
わたくしはアンティークショップに置かれている、フランス人形。
わたくしには意思がある。最近は喋る事も出来るようにもなった。
ここの店主にはこうたくんというお孫さんがいる。
今日も主の代わりにお留守番。
わたくしはいつの間にか好きになっていた。初恋よ。
なので遂に決意する。
告白ですわ。
日本語は来客の接待とかテレビを観察して、簡単なものならマスターしたわ。
いける、わたくしいけますわ!
さて、何て話しかけましょうか?
確か、今は朝なので、こんばんは、グッドアフタヌーン、意表をついて、おばんです、なんてどうでしょうか?
おばんですおばんですおばんですおばんです
よし!
「おぱんつ!」
はれ? 何かが違うような――この時、「……………」こうたくんは無言でわたくしを鷲掴み、次の瞬間、宙を舞った。
ひゅぅぅぅぅ
そのまま窓を越えて外へ、更に偶然通りかかった収拾車にゴォォォォル!
「イヤァァァァ、今日は生ゴミの日よぉぉぉ、わたくしは粗大ごみの日なのよぉぉぉぉぉぉ。臭さいわぁぁぁぁ」