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「――じゃあ貴方が私の命の恩人なんですね」
幼馴染みが『元』魔王に笑顔を向けているのを、魔法使いが苦々しく見詰めている。
「魔法使い殿が貴女の事をとても心配していたからね。私の出来ることをしたまでさ」
楽しそうに『元』魔王が答える。
色々と言いたいことが山ほどあったが、魔法使いは飲み込んだ。
「それでは『幼馴染み』殿。ご理解はして頂けたかな?」
「……まあ納得はしていませんが。お二人が決めたことでしたら、私はこれ以上口を出すことはしません」
ふう、と一つため息を吐き幼馴染みは、
「それでは、これからよろしくお願いしますね。『英雄様』」
――魔王の出した条件は『二人を見守ること』。
元々魔王から危害を加えたわけではなく、国が勝手に脅威を感じて排除しようとした結果が『魔王討伐』である。
ならば『魔王』を消してしまえば良いと本人は簡単に言った。
当時のことを詳しく知っている人間はもういない。魔王が全て滅ぼしたから。
記録は残っているかもしれないが、誰が現『魔王』と当時の『勇者』が同一人物だと思うだろうか。
「勇者達の活躍により『魔王』から解放された。礼として彼等の役に立ちたい」
そう告げ、他の者をどう言いくるめたかは知らないが『魔王』はかつての『英雄』として勇者達の仲間になった。
そして国へと帰還した今は、幼馴染みの護衛となることを望んだ。
王女はそれでも幼馴染みを排除しようとしたが、全て『英雄』が返り討ちにした。
「……で、いつまで彼女の護衛するわけ」
魔法使いが訊ねてきた。
「王女が諦めるまでか、それとも――」
「……それとも?」
『英雄』は笑みを浮かべながら魔法使いに言った。
「二人が大往生するまで、かな」
恋…愛…?
な終わり方をしてしまい実に申し訳ありませんm(_ _)m
特に魔法使いが不憫な件。魔王が主役に見えるとか一体どうしてこうなった。
そして魔法使い以外容姿の描写を忘れてました…。
…………ご想像にお任せします(オイ)
【どうでもいいおまけ:全てを台無しにするNG台詞】
幼馴染み「それでは、これからよろしくお願いしますね。『英雄様』」
魔法使い&魔王「誰!?」
…魔王が転生したら英雄って名前になるんじゃないですかね(適当)