26.番外編 それでもゲームはやめません
あれから一週間たち
その間眠ゲー『オルフェヴェーナ(運命の抒情詩)』へ
ログインはできなかったけれど
親様たちは忙しくパソコンの前を離れることはなかった
オルフェのスタッフの人たちも出入りが多く
あと、数日スタッフの人がここにはいるのが遅ければ
私たちの体は危ない状況になったかもしれないとのこと
そう、結局狙われていたのは「カナン」であり
それを奪い去っていった「トーヤ」でもあった
「答えはきかねぇ
で、このまま再開させてもらえないか?」
そうトーヤは言った
「テスターの9割がやつらの挑戦を受ける
謎解きを再開したいと願っている
さぁ、どうするんだ?」
って、母親様、どうしてそんなにトーヤになってるんですか
「しかし、トーヤさん、まだ不安定要素があって
もしもの事があればどうするんですか?」
「やばいな」
く、と母親様は笑う
「やばいですまないんですよ、こっちは」
「そのまま、痕跡を消すこと、新しく組み替えるのは簡単かもしれませんが
彼らはきっと口を割る事はないと思いますよ」
と父親様
「そうなんですよね・・・」
そう、犯人グループ
一部と言われてますが、主犯格の人たち5人はつかまり
その内2人は自供済み
あとの人たちは、祭り騒ぎで頭がいかれていたんだろう
と、ゲームの危険性に警鐘を鳴らしながら
テレビにも出るぐらい剛毅な方
だけれども、サイバーテロまがいな犯罪であり
他者のアクセス権を不正に取得した
所謂ハッキング問題が浮き彫りになる
「それだけ脆弱なシステムなんですよ」
といってるけど、それは内部の助けがあったからこそできたこと
結局は人的被害であったと
シロコウジさんが言って
どこまでいっても、結局人間かよと、呟いてらっしゃったのが
印象的でした
「だからこそ、そいつの思惑、しりたくねぇか?」
「知りたい、しかし会社と人命かけてまではしたくないですよ」
とさすがに大人な対応
「おもうんだけどさ・・・多分デスゲーム、嘘だぜ?」
「「は?」」
「たしかに、出られない、生き返らないはできるし、できただろう
だけどな、それはトシが解決しただろう」
「そうですね、トシの場合は、デスゲームじゃないものをデスゲームにしてしまいそうですね」
くすくすと親様たちが笑う
2人のスタッフさんは、あぜんとして、私を見る
わかりません、と私は首を横に振りますよ
「トシはゲームをしている自覚はあるけど、ゲームをしらないんです
なので、当たり前であること、暗黙のルールが通じません
ですから、ゲーム内であっても、死亡は死亡でしかないのです」
私はうなずく
「彼らは、復活コマンドを消す、またはログアウトと同じく
選択できないようにしただけだと思うんですよ」
「そうなんです、システムのコマンド消されていたら逆にどこいじったかわかりやすかったんですが
たかが一文字、一言いれられただけだから気付けなかったつーか・・・
すいません、言い訳ですね・・・」
「いえ、そんなものですよ
木を隠すなら森の中
単純だからこそ、見つからない方法でうまく行動されてると思いますよ」
「そう、敵ながらあっぱれ
それに、ちゃんと別のトラップも仕掛けてなぁ・・・」
といろいろあったようで、黒白コンビのスタッフさんたちと
親様たちは、怒涛のごとく話つづけてらっしゃいます
お茶のお変わりとコーヒーなどの注文を間にはさんでくるのはいつものこと
始めは恐縮していたスタッフさんも今では、あ、牛乳お願いしますと
違うメニューまで登場してます
まぁいいんですけどね
「ま、トシがいてよかったよ
お前が変に常識人だったから戻れた
で、被害も最小限だ
それに、お前の一言「人が死ぬのは当たり前」で俺らは目を覚ました
だからこそ、次はゲームを楽しむのさ」
とぱちんとウィンクした表情が
もうトーヤにしかみえなくなりました
「あーもー、わかりましたよ
デスゲームにはならないんですね」
「復活関係のコマンド、浚ってくださいね」
「現在進行中です、しかし、ちょこちょこ見つかるんですよ」
「そいつぁー、ご愁傷様
ま、死んでもどっかにはいるんだから早めにみつけてくれな」
と、母親様は明日、いいえ、今日にでも再開したいみたいな感じですね
「デスゲームのタイムリミットじゃねぇが
学生はなぁ、この休みしかこれねぇんだよ
そのタイムリミットが迫ってる」
「そういう挑戦もたのしいとおもいませんか?」
トーヤとカナンは、笑う
その未来を見据えた姿に、やはり、親様たちはゲームの中で生きてらっしゃると
ひしひしと思う
「わかりましたよぉ~
うう・・・
しゅにーん、トーヤさんもカナンさんも、現状でいいからさっさと再開しろと目がわらってません」
「はは、なかなか、リアルでも曲者だな」
「すげぇ曲者ですーっ」
と泣きの電話
でも、しってますよ、シロコウジさん
あなたの口のはしが楽しそうにわらってること
わかってますよ、クロコウジさん
あなたが全身全霊で楽しんでること
結局、皆さま、ゲームを楽しんでらっしゃる
「トシも遊ぼうねー」
「私は私で楽しみますよ」
あなた方にはついていけません
「だよなぁ」
しょんぼりしつつも、わかってたと笑顔
いつでもどこでも、好きなように行きましょう
ね、親様
◇◇◇◇◇
そうして、みんなが戻ってきた
世界の住人たちは、襲撃について驚きつつ
よくやってくれたと、ほめたたえるその瞬間から時は進む
偶像に記されていた文字は
トーヤがやっていた前作ゲームの後続
だからこそ、トーヤがやりたいと思わなかったもの
トーヤ自身が恨まれる原因を作っていたことがわかった
今回はやらねぇと書いてたとのこと
人気ものは、一言が重いんですね
ゲーム自体は、カードゲームで
絵柄と能力をみることが多く文字まできっちり記憶している人がおらず
今回のゲームのためまた改編が行われていて
特に、はじまりの地の文字は新文字ということで
誰もわからなかったよう
そして、全ての文字をあつめ、このゲームの中でカードゲームをして
みごとボスに打ち勝った皆さま
結局「宝」が何かわからなかったようで
消化不良!!!と叫ばれてましたね
「あー、親子丼うめぇぇぇ」
と、かっこむのはいいですが、どんな姿勢で食べてるんですか
そんななめくじがのたくったみたいな姿勢でたべないでください
喉につまりますよ
父親様も、少々不機嫌
こちらは、黙っちゃうタイプなんですよね
ただ、ちょっと溜息が増える感じで・・・
「抽象的な宝なら、わかりましたよ?」
「「何」だ?」
と二人の復活早いですね
「ゲームを作る人、楽しむ人
ではないんですか?」
「ん?」
「ゲームを作る人は、お金儲けもしたいですが
結局ゲームを楽しんでほしいんですよね?
カードの絵柄描いてくれる方
デザインする人、ゲームのバランスを整える人
ストーリーを考える人
そんないろんな人が作り上げて
それを私たちが、見たりゲームをして楽しんだりと
そして、トーヤやカナンは主観を述べる場になるんですよね」
「あぁ・・・」
「そのみんなが楽しむ世界を作りたい
が最初のきっかけなような気がしますよ」
「・・・そうかもな
オレやカナンは後付か」
「たぶん」
それは一部の熱狂的なファンの仕業
そういう思惑があるからこそ、隠れ蓑になったのかもしれません
「ちょっと電話してきます」
ぴっと携帯電話を取り部屋に戻る
「はいはーい、何ナニ?」
「お疲れですか?クロコウジさん」
「ちょっとねー、で、どうしたの?デートならいつでもいいよ~」
「それは、またでお願いしますが
相手さんのカードゲームを、そのゲームに組み込みすることはできませんか?」
「・・・今みたいにか?」
と、途端にしんけんになりましたね
「はい、無理でしょうか」
「できなくはない、ただ、な、管轄や契約が違うから
どうなるかわからない
わかってると思うが、会社の母体は同じだからまだできる可能性はある」
そう、会社の別部門で、だからこそ「人間」の問題だったわけです
「やっぱり、あんたも、あの二人の子供だな」
「どういう意味でしょうか?」
「ははっ自覚ないのも一緒か!
まぁいい、こっちはこっちでやっておく
トシ、ゲーム楽しんでくれよ」
「はい、私なりに楽しみます」
そう、私になりに
それでいいです
決められたゴールはあるかもですが
私は、街の人たちとお使いクエストをしながら
少しずつレベルアップして旅行先を増やしていきますよ
おっしまい




