表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/27

23.平穏な日常を一枚剥げば地獄

「おはようございます」

考え事して眠ったせいか、ふわふわとする頭で皆さまに御挨拶すると

犯罪級にかわいい、とトーヤが抱きしめてきますが

私朝の支度をしたいんですが、このくっつき虫はどうしましょうか


「トーヤはご飯いらないんでしょうか、放してください」

「いるが、放したくないぞ」

といいつつキスしないでください


母親様の本質は、こんなものなのでしょうか

まったく困った方です


「なんか・・・朝から目に毒というか・・・作ろうか?」

あ、現実逃避しましたね、リキさん

私もご一緒させてください


「お二人は作れないんだから、お二人で仲良くされるか

 じっと待っててください」

カナンは今回関係ないですが、この方も隙あらば

私にくっついてくるんですよね


まぁ、それは、現実でも変わらないかもしれませんが

そういう意味では、父親様の方が、変わらない雰囲気なのかもしれません

優しい父親様というイメージの延長ですしね


「待っておきます」

くすくすとカナンが笑う

親様は、どちらも料理できませんものね



寝かせて置いたパンを形づくり

温かい石窯の中にいれる

リキさんが、下で燃料を足して火力を強くしてくれているから

ちょうど膨らんだ頃に、焼きが始まるだろう


耐火皿の上ら、キャベツと人参、それにうすぎりのじゃがいもをのせ

いぶしておいてベーコンによく似たものをそぎ落とし振りかける

バターをたっぷりのせてチーズを卸す


スープは、昨日ののこりでいいし

あとはヨーグルトと果物で完成でいいでしょう



「トシー、たまごーっ」とトーヤが隣の部屋で言ってます

相変わらず卵好きですね


「つぶしたやつな」

「はいはい」

また、面倒くさいことを言うお方ですね


ちなみに、つぶしたやつというのは

ゆで卵をつぶしてマヨネーズであえた

サンドイッチの中身でよく作られてるやつです


まぁ、そういわれるとおもって、ゆで卵つくってますけどね

特大の・・・

ごろんと、転がすと、2人が驚きで目を見張る


「綺麗ね」

カナンは見た目にうっとり

トーヤは、うまそうと呻る


なんなんですか、このお二人は


「殻いりますか?」

「よいの?」

いいですよ、たくさんありますし

綺麗に半分に切ればよい話ですから


「半分にはなりますけどね」

「それでもいいわ」

にこ、と笑うカナン

「リキさん綺麗に切ってください」


「まかせろ」

と手を伸ばしながら言うと

「「バリバリー」」と親様たちが口をそろえて言うと

「やめてーっ」とリキさん


・・・なんですか、三人とも意気投合でのりのりなのは

それはともかく綺麗に切ってくれてありがとうございます


殻自体の厚さは結構あるので中身をくりぬくのは簡単

水の精霊と契約したおかげもあるのか

つるりとすき間を作って、水で持ち上げてくれました


表面を削り取って、あげるとかなり幸せそうな笑顔で頬張ってますね


「これだけでも食べたいな」

「またの機会にどうぞ、それとも、今食べて、つぶし卵たべるのやめますか?」

あ、本気で悩んでる


「つ、つぶしで」

「今晩は卵ないですからね」

「えっ」

そんな絶望的な顔をしないでくださいよ

この量を4人で食べるといいながら

トーヤ、半分以上持っていくのが予想できますので

ゲームの中とはいえ、禁止させていただきます

現実で問題ある行動を起こしそうですから・・・


という風に、平和な朝食ですが、これでいいんですよ

すべてにおいて殺伐としていては、いざというとき、頭が鈍くなりますし

鈍くなれば反応もできませんから

オンとオフの切り替えはうまく・・・ですよね


「では、私は買い物がてら、身近にいそうな精霊捕まえてきますね」

「・・・」

リキさん、なんですか、その目は

まるで、人さらいのような顔しないでくださいよ

捕まえるで間違いじゃ、ないと思うんですよ?


◇◇◇◇◇


「・・・どういうことだ」

画面の前つぶやく男は、刻々と刻まれ進みゆく白文字をみて

愕然としていた


コックピットのように、ずらりと配置したモニターの一つは

棒グラフと折れ線グラフがあるが

その変化は、日々たるもの

そう、データの推移を示しているものだ


運営がいうように、デスゲームが宣言された後にデータの書きこみは増えた

しかし、減らない


見事な横ばいの状態である


内部時間を外部から読み取りできないようにしたリスクは

しかけた側も同じ

中の1日毎ぐらいにしかデータを収集できない

もし、こまかくデータを読み取りしようとすれば

こちらのアクセスを読み取られてしまうだろう


その歯がゆさに、男は、口の中をぎりとかみしめた


血の味と傷みが広がる

ゆっくりとなめとり、傷みに震え、身の内に起こる感情を押し殺す


どうシュミレートしてもこの反応はおかしい

まるで、わかっていて、こいに書き換えられているような

そんな反応だ


しかし、そうではない

運営が内部にアクセスするようすは手にとるようにわかる


「失敗っていうのか・・・」

キーボードのボタンを切り替え、接続PCを変える



「反応は変わらない」

カタカタと打ちこまれ、文字だけのリアルタイムメッセージ

チャットに記された文字は取り消しがきかない


「ありえない!」

誰かが、反射的に返す

「事実だ」

そう打ち込みするだけで苦痛だ


「起動させろ」

「さっさと殺せ」


もう後戻りできない所まできているのは誰もがわかっている

それが犯罪者の末路だ


まぁ、ただの冗談でした

遊びでしたと未成年のように責任なく言えたらいいだろう

そのつもりのバカも少なからずいただろう


自分が神になったような気にも


しかし、俺たちは神にはなれなかった


だが、抜け穴があることはわかってる

その情報を盾に、自分を売り込むことはできるだろう

すべては、うまくいえば・・・だ


胆略的に殺す、なんてもったいない

せっかくのもモルモットだ


ヒントを出し続け、うごいてもらわないといけない


そうだ、まだ、終わってない

バカみたいに落ち込んでいたのは俺だった


「さぁ、宴をはじめよう」


◇◇◇◇◇


「なんっか・・・やべぇ雰囲気」

一日ぐらいのんびりするかーと珍しい事を言って

まわりを驚かせたトーヤだったが

今、彼が放つ雰囲気は、戦闘中のそれだった


ざっと、立ち上がるのは天体王者のギルメン

そして、カナンの騎士たち


「トシ」

手を伸ばされ、カナンに抱きしめられるトシ

「怯えてる」

というのは、精霊たちがだ

身近にいた精霊を餌をはじめとするもので釣ったり

ただ、見つけて捕まえたり

むしろ契約しに来たりと、トシの精霊使いとしての下準備は整っていく

だからこそ、今まで読み取れなかった世界の異変

そのただならぬ雰囲気を察知しているということだろうか


「襲撃イベントを強制発動させてようとしているということか」

「その可能性は高い」

「個室に戻れば確実に安全だが、外部の情報がまったくはいらない

 そのリスクはどうする?」

人々の怒号のような意見交換にトシは微かに目を細くした


うるさい、と言いたげなその様子に、カナンは笑みを浮かべる

どんな時でも変わらない

だけど、強くて弱い自分の子


その姿勢に、私たちは幾度も助けられた

きっと、今ですら、ネットなれした、リキ

そしてトーヤ、カナンに依存しきらないその姿勢

それに救われるだろう


「襲撃イベントとはなんですか?」


「基本的には、街をはじめとする場所や物を外敵から護るんだ」

「敵は、ここを目地してくるから、襲撃な」

「言葉通りなんですね

 その敵はいつも変わらないんですか?」

それならば、ここははじまりの地

強い敵は存在しない


「いや、ボス的存在がいる」

「で、どこまでポップするかだ」

「城壁までならいいが、街中までくるか

 そして、この場所だけじゃなくほかのはじまりの地もか

 それ以外の街もか、が問題だな」

たかだか一つの、この場所ならば、天空王者、水煌宮のギルド

陸人のギルドがのきをつらねているのだから

問題はないだろう


「トーヤ様!」

ばたばたと、羽をぶつけちらばせらて空人の一人が飛び込んできた


「なんだ?」

ただ一言、だが、その一言で、一瞬にして世界に静寂が訪れる

それは、覇者がもつ雰囲気がそうさせるのか

怒鳴るわけでもない、ただ一言発するだけで

これである


「中央広場に、数字が表れました

 推測するにタイムリミットまでの時間、それに付随する何かだとおもうのですが

 まだ解析はすすんでおりません」

「おう、わかった

 場所移すか」


今の今まで、座っていたことがあり得ないトーヤの雰囲気だったが

にまりと笑って、トシの腰を抱き、抱き上げる


「放してください、トーヤ」

「嫌だね」

ばさりと、コートを翻して飛び上がる


トシには、飛行能力がない

トシの速度でいけば時間がかかるとのがわかってるからこその行動だと

トシも理解しているが、この状態はいたたまれない


カナンは、ふわりと立ち上がり、ぽたりと落ちるしずくとなった

水人が使える転移の一つ

水煌宮はすべて、一滴の水滴になり消える


「俺だけかよ・・・」

とリキが叫ぶ


そんなリキも噴水の上にある偶像の上にある数字

それは、間違いなく時間であることを誰もが理解できる

秒以下まで表示され

崩れ落ちるように数字が回転し続けている


そして、不思議な模様が偶像の胸に痛々しく刻まれている


「この模様どっかでみたいよな・・・」

トーヤを呼びに来た空人をはじめ

解析班とよばれる人たちが顔寄せあって話ている


「解析は、つづけろ

 ノヴィは空に戻れ

 水は、騎士どもに任せるぞ」

「おまかせを」

そういって、各々が、情報収集を始め動き出す


「あっあの・・・」

「なんだ、坊主?」

「絵師のスキルもってます、まだ飛べませんが

 各地の模様書いてくることできますので連れて行っていただけませんか」


「お、いいな

 他、持ってるやついねぇか」

「あ、はい、私あります、レベル2ですがいいですか?」

「いいぜ」


ざわりと、まわりが騒ぎだす

逃げるだけ、できることなどなにもない

そう思っていた人たちが、少しだけ気力を取り戻した瞬間だった


「トーヤ様、お役にたてることはありませんか」

「今のところはねぇ、だがな、生きろ

 お前は、弓だな

 城壁の上から襲撃中、援護しろ、フレドリーファイア(誤射、味方への攻撃)はないはずだが

 あるようなら場所を限定して攻撃する

 それまでにとれるなら、的中のスキルとっとけ」

「はいっ」

「何かやりたいんだったら、なんかしようぜ」

にこりとトーヤは笑う

「死んでもな、生きてもな

 面白いことできないなら、つまんねぇだろ?

 怖いけど、見てみたい、やりてぇって気持ちがあるんだったら

 やってみようぜ?」

トーヤは、全員を見渡して、にぃっと笑う

「怖いものみたさもあるだろ」

「それで死んだら・・・」

「そんときゃ、運がなかっただけさ

 そう思って、怖いなら、引っ込んどくのが安全さ

 つまんねぇだろうけどな」

くく、とトーヤは笑う


「投擲、弓、魔法関係者は、レベル低くてもいい

 援護射撃ができるようにすればいいだ

 直接戦う必要はない

 武器の用意、ポーションをはじめとする薬の準備

 各地との連携

 できるこたぁいくらでもある」

そうガフも大声を出す


次第に高まるテンション

その中でトシだけは、首をかしげていた


「トシ?お前も怖いなら・・・」

と、トーヤが視点を戻したとき

トシは口を開いた


この状態がないようにいつのように

「皆様、ログアウトってどんな感覚なのでしょうか?」

そう、口を開いた

少し間が開いてしまいました

そして、少しだけお話も伸びることになっちゃいました


風邪はひいてませんので大丈夫ですよ?

熱はだしてますけど・苦笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ