13.決め手は、それはただ一つの真実!
親様たちが書いた掲示板の箇所を確認したいけど
それをすると、あの方達が離れてくれなさそうなのと
本当にお腹がすいてきたので屋台の場所へと向かった
今日は、掲示板に皆さんが集まっているため
屋台の周りは開いてるけど
NPCの皆さんも、告知が合ったんだってなぁ~
大丈夫かー
なんて、気さくに声を掛けてくれる
このゲームの良いところは、やっぱりこう言うところだと思う
「トシといると、NPCの感じが変わるね」
と、リキさんに言われた
「そうですか?」
「多分、ね
気のせいだと最初は思ってたんだよ
で、俺はそれが当たり前になってきてたんだ
だけどな、廃ゲーマーな人がそばにいた時
あ、これは人によって変わるってわかった」
「それは、私が、望んでいる風になっている・・・ということでしょうか?」
「完全にではないけど、そういうことだと思うよ
何パターンかが用意されてて
交流いらない人用、昔からのゲームと変わらない程度の人
トシみたいに交流する人
あ、ここ寄らない?いつも人気なんだよ」
と、指した屋台は、麺屋さん
麺といっても、卵麺、ラーメンタイプじゃなく米粉・緑豆タイプ
フォーや春雨のような感じの半透明な乾燥麺が屋台の一角に積まれていた
「いいですよ」
ナンプラーはあまり得意じゃないですが、フォーは好きです
「何にするかぃ?今日のおすすめは鳥中太だな」
「じゃぁそれ二つ、片方は、辛さアップ」
「お、いける口だねぇ~、お嬢ちゃんは、からいのいけるかぃ?」
「そこそこには」
味すらわからない辛さは嫌いですが、全体を引き締めるような辛さは好きです
「よっしゃ、ちょっとまっとけやぁー」
乾麺をぽいっとお湯の中にいれて暫くすれば湯の中で麺が踊ってきた
白から透明へとかわっていくのは見ていて楽しい
ざっと水切りをしてどんぶりに入れ
その上に、鶏肉、もやしや香草をたっぷりのせて
熱々のスープ
そして、いつの間にか熱したネギ入りのラー油をかけると
じゅじゅっと音を立て食欲をそそる匂いが漂ってきた
この匂いに釣られる人は多いはず
だから、人気なのはうなずける
私も口の中によだれが、な感じで食欲を高められ
そっちで喰えよ、屋台屋の後ろのテーブルにつく
「頂きます」
二人の声がはもり、箸を差し込み掬う
つるりとした麺が箸から逃げるけど
食べる口にぴったりになってくれたはず、口を寄せ啜ると
口の中に、鼻腔に広がる出汁の香りと味
間違いなくおいしい
鶏肉も臭みもなく食べやすく、皮もぷりぷり
二人して、無言で食べ終え、先に終わったリキさんを見ると
うん、と頷かれる
これは、間違いなくおいしいということ
もう一杯、違う種類で!と言いたいけど、食事をしすぎると動けなくなるペナルティもある
こうもおいしいものを用意して、食べ過ぎるな、なんて
酷いゲームです
「また、次の機会・・・ですよね」
ふぅ、とため息ついちゃいます
「俺は食べられるけど、トシに怒られそうなのでやめときます」
「はい」
とにこりと笑って、ずるいと怒りますと、からかいに乗ってみました
「おっと・・・まだだぜー」
と、店主さん
「ほいっ」とかけ声とともに器に投下されたのはご飯
「で、これっと」
テーブルの上にあった調味料をさささっと掛けていく
「どぞ」
からんっと、金属のレンゲが用意され
即席おじやの完成
「今回は、サービス
次回からは有料だからなー
汁残してくれててよかったよ」
楽しそうに笑い、店主さんは離れていく
「えええっトシずるい」
「口つけてますが、半分食べますか?」
「いいの?ならお願いします」
「はい」と半分、リキさんの器に移すと、感謝と手を合わせられ
どんぶりに口をつけて、流し込むように食べられました
どんぶりが下げられ見えた顔には満足と書いてます
でも、そうなるのが当然な味
なかなか、この店主さんはやり手ですね
ごちそうさまとお別れして
昨日できなかったギルドクエストを受けて、草原にきてます
考えてみれば、この世界にきて
どうにかしなければ、という思いで目的なものしか見ていなかったかもと
風が吹き抜け、白い綿毛が、ゆらゆらと揺れる
綺麗な風景に立ち止まってしまいました
「トシ?」
「・・・この世界は」
「うん?」
「こんなにも綺麗だったんですね」
はじまりの地だから、どこかにありそうな風景
それがなお、心に響いた
「・・・そうだね」
リキさんも、風景に目を向け息を吐き出した
「たしかに、綺麗だ
なんか、探索スキルで、文字ばっかりみてたわ」
「私もです」
まるで映画を音声と字幕をみるように
私たちは、余裕なく、目的物しかみないで
数日をすごしてしまった
「私、生活セットは使わないわ」
「うん、俺も」
たぶん、生活セットで楽しむことはできる
だけど、そうしたらこの景色はみることができない
今から行く、次の世界にも出会えない
溶岩の滝、浮遊島、氷の城
上下あべこべの世界
夜の街の幻想的な街並み、巨木エリア
公式サイトの動画で世界を観光したい
「決め手は、いろいろあるけど・・・
俺は世界を・・・見たいね」
「同意見です」
「あ、さっきの話しの続きだけどさ」
「はい?」
なんのお話でしたか?
「NPCが人によって違うやつ」
「あ、そういえば、そんな話してましたね
ご飯がおいしくて忘れてました」
俺もとリキさんはいい顔で笑う
「運営が、好きな飯とNPCっていうの上げた理由も分かるわ
ちゃんと交流しよう、会話をしようってイメージしてる人には
この世界は、すごく楽しい
機械的に、俺たちが景色をみる余裕がなく
ただ数字と文字の羅列に感じてたみたいに、取引しか興味ない人には解らない世界
だから、トシはそういう意味で
最初から世界を楽しんでて、俺に教えてくれてたんだなって思うよ」
「そんなにすごいことはしてませんよ?
私、昔のゲームのそれが嫌いでしたの
死人がいるみたいな風景」
「まぁなぁ、ロボットとかだわな」
「はい、でも、違ってうれしいと思ってたのは
半分自分の気持ちの持ちようと関わりだったんですね」
「ま、ゲーマーじゃないからこそ、だね」
ふふ、とリキさんは笑う
ゲームをしてる人たちのほとんどは、他でゲームをたしなんだ人だろう
その世界とは違う
眠ゲーだからできる世界を楽しんでほしい
そう運営も
そしてこの世界も言ってる
だから、世界を旅しよう
「ね、リキさん」
私はにこりとリキさんに笑いかける
「そうだね、世界を楽しもう」
明日の分はどうにか書けて、食とほのぼの会でした~