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10.どうしようもないことを悩むより、何かをしましょう

「あ、ここにいたんだ」

リキさんが、ひょいと、顔をのぞかせたのは

共通の寝室になっている窓から


「って・・・なにそれ」

「増えました」

「うん、増えてるね」


と、言った途端顔を引っ込めて、こちらに走ってきた


「うぉぉぉ、すげぇぇぇ」

と、なぜか大興奮、そして、手には、種ですね

薬草採取の際、とりあえず、採取した

現実世界でつうしょうねこじゃらし

日本名、エノコログサをとると、とった瞬間種だけになって

びっくりしたあれ、ですね


「はい、トシ」

と、私に握りしめた手を伸ばしてきて、渡されました


「きゃっ!」と言ってしまいましたよ

ちょっと恥ずかしい

ばささと、羽音が響いて、来たかと思ったら

手の上に、不思議な感触

鳥の足のあの、つんつんとした感覚ともはっとやわらかいものにふれたような感覚


くーくーと鳴きながら鳥伝たちが、そのまるまるとした肉体を寄せ合いへし合いしつつ

ついばんでました


「全部かうつもりないんですが」

「えっ」

って、そちらのほうが驚きですよ

リキさんは、テンション高く笑いながら、鳥とりーと、種と鳥まみれに喜こんでなってます

動物すきなんでしょうか



「たぶん、もともと、ここの家の鳥なんじゃないかな?」

「だから、戻ってきたと」

「そう」

と頷きつつコチラをうかがうリキさん


「種と、糞の始末などちゃんとするなら、いいですよ」

ダメと言いにくい雰囲気だし

それに、出て行けといっても、きっとでていかないでしょう


別に鳥自体は嫌いじゃないですが

こんなに一杯いても困りますし、見分けがつきませんし

使いませんよ


よかったな、お前ら

と、うふふーあはははーな状態で、鳥たちに餌をまきかけながら

くーくーと戯れてる

むしろ、餌より、リキさんに興味あります、なついてますな状況で

調教スキルでもとれたんでしょうか?

後で聞いてみましょう


鳥伝は、ざっと数えた所20羽はいるみたい

そう考えると前の薬師さんは、かなりすごい人だったのではないでしょうか?

お弟子さんが4人がいて

お弟子さん専用のアトリエもあるし、道具もいいものをそろえてますし

お風呂もばっちり完備

地下もあり、転送も可能で

それ以外の伝達手段、鳥伝もこの数ということで

頻繁にやり取りしているのが推測できます


それに、ナトさんは、この家を私にただで貸してくれて

無料延長は考えてする・・・といえるぐらい

前の時に儲けてたはず


逆にいえば、ここをさわってないのは

戻ってきてほしかったからかもしれない


さわれなかったのも事実でしょうし

回りの人に、呪われてない?と悪評も少しあったみたいで

市場では、まぁまぁ大丈夫なの?とか

人住めたのねーとも聞かれた


なので、いろんな意味で、破格なのは、いまさらだけどわかっているけど

少しだけ、申し訳ない気分になるのは

昨日の現実世界への思慕のせいでしょうか


そう考えると、私も、けっこう甘えん坊だということがわかります


親様たちは、一日の大半をパソコンの前でいらっしゃり

私が小さいころから、そのスタイルを崩されることはなかった

お腹がすこうが、トイレにいきくても

一緒に遊んでほしくても、親様たちは、私に見向きもしなかった


だけど、一日、ほんの数時間

親様たちはパソコンから離れる

パーティを組んでいなければ各自で、組んでいるときは同じで

昔は、どうしてそうだったかわからず

入り口で、のめりこむような二人をみて

自分の存在意義と、その何かに取りつかれたような二人に恐怖した


だけど、親様は、私を忘れていなかった

今日は何をしていたの?と、普通の親が聞くようなことを聞き

私を抱きしめる

お風呂に一緒にはいって、お弁当を食べる


私にとって、親様は違う世界の人だった

あの部屋から出てきてくれたら、私の親様になった


そんな私も、小学生の時、私の世界は開けた

世界が、家だけ、親だけではなくなった

だけど、私は、まだわかってなかった


サイズの合わない服、みすぼらしい姿

私はいじめの対象にあったけど、親様は、かわらなかった

だけど、理解するのもはやかった

サイズの合わない服は、合う服にすればいいこと

みずぼらしい姿は、綺麗にすればいいこと


テレビがそうしていた

服がほしい、〇〇がほしい、と親様たちに言う

親様たちは、自分で買いに行けるかいといって

お金だけを渡した


お金が降ってくる時代になった

だけど、使えばなくなることをすぐ知った

高い服、1つしか買えない

安い服、たくさん買える


買い物に行くたびに、お母さんはと聞かれる

一人でできるの!ていうと、いろんな人が手伝ってくれた

悪い人もいた

だけど、私は、しっかりとお金から手を離さなかった

半分にちぎれたお金を教訓にした


そうやって私は学んだ

それに、家庭科の教師、しおり先生は、とてもいい先生で

あなたの家庭状況は、よくない状況ですが

あなた自身が悪くなる必要はないのですよ


と、いつもおっしゃっていた

だから、今、ここで、閉じ込められて悩んでいて

立ち止まって、他人の意図に翻弄されてしまってもしかたない


ナトさんが、あんたに貸してよかったよ

あんたと知りかえてよかったよ、と少しは思ってもらえるようにしたい

甘えてると思うけど、ナトさんは、少しだけ理想のお母さんに思える


だから、悩んでしまったのだろうか


「トシ?大丈夫か?」

「ええ、大丈夫よ、もう大丈夫

 鳥たちのせいで、少しばかり悩んでしまったわ」

「えええっ、絶対違うよね、それ」

大げさに声をあげ、笑うリキさん

あなたとも出会えてよかった


「半分はそう、半分は昨日からの・・・かな?」

「まぁね・・・って、えええ!!」

と、いきなりどうしたんでしょうか


「とっ・・・トシ」

「はい?」

「掲示板に行こう!」

がし、と手をつかまれて、走られる


そう、まだ、大丈夫、笑える

それに、友達も仲間もできた


小学生の頃の私ができて、今の私ができないなんてことないわよね

親様が、どこでも変わらないな、て笑うぐらい

私は私でいましょう


それにしても、何事かしら?

いつの間にか溶けるストック

毎日すぎるのが早いけど、毎日の日課になれば嬉しいです

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