蒼い少女は謎のまま
「あっ!フレア!やっと見つけた」
振り向いたフレアは、さっきとは比べ物にならないほど冷たい顔をしていた。私の幼馴染、霊夢は少し怯えたように
「ねえ、あれって本当にフレア?」
と言っていた。肝の据わっている霊夢がこういうほど、背筋が凍るほどの視線だった。
「何?」
私達が会話を始めるとまた打って変わって楽しそうな表情を浮かべるフレアの瞳は、今まで見た中で一番深い紅だった。
「ねえ、遊んでくれる?私、とっても暇なの!」
口調さえも、丁寧な敬語から変わっていた。まるで‘別人のようだ’
「そうねえ、この霧を止めてくれたらいいわよ」
霊夢は運動神経だけじゃなく、頭の回転も早いようだ。
「それは無理かなー、だって止められないんだもん」
「「え?」」
この発言は、明らかに矛盾していた。最初は、事情により霧が消せないと言っていたけれど、今度は物理的に無理らしい。一体どうなっていることやら。
「うーん、フレアならできるかなー」
「……え?!お前、フレアじゃないのか?」
思わず聞き返す。
「フレアじゃないけど、フレア?みたいな?分かんないけど、答えたからきっと遊んでくれるよね!」
フレアのように見える少女は、いきなりぐるりと回り、笑いながら挑発してきた。
「ねえ、ねえ。お人形さん。あなたはいつまで耐えられるかしら?」
悪気があるのかは分からないが、これは流石に霊夢もキレたようで、
「ちょっと。人に向かってその言い方はどうなの?」
言い返すが、少女はそれを気にも留めず
「あれ、避けなくていいの?」
きょとんとする。避ける?何を?嫌な予感がし周りを見渡すと
「魔理沙!避けて!」
霊夢の声が飛んできた。反射的にしゃがむとすぐ上を何かが通った。
「あーあ。全部避けちゃったか。でもすごいね!初めてだよー!」
少女は嬉しそうに拍手をする。割れた結晶があるあたり、おおよそ上を通ったのはクリスタルだろう。
「じゃあ、次から私も入ろうかな!」
少女は目の前にふわりと降りてきて、不吉に笑った。
「スペルカード発動。創弾 未来を描く運命時計」




