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最終回 二人の幸福、そして……
真一さんの後ろをついていく私。
期待と不安が胸に渦巻き、呼吸が少し荒い。
「ただいま」
「お帰り、真一」
「おぅ、真一。お帰り」
真一さんのご両親の視線が私に注がれる。
「紹介するよ。花咲穂香さん」
「は、はじめまして! 花咲穂香と申します! 真一さんとは結婚を前提に(ぐ〜っ)」
炸裂する私のお腹の音。
「はははっ、お嬢さんは随分と正直なひとのようだ」
「ふふふっ、真一の大切なひとは空腹のようね。さぁさ、上がってくださいな。何かお腹に入れるものを用意するわね」
初対面でいきなりやらかす私。真一さんも笑っている。
でも、これが本当の私。詐欺はやめた。自分に正直に生きていくんだ!
お義父さん、お義母さん、ご馳走にあずかります!