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干し草

 諏訪原城の堀を埋め尽くし。丸馬出しを無力化する事に成功した石川家成の部隊は、丸馬出し内部を確認。中に諏訪原城兵が居ない事を確認した石川隊は丸馬出しに侵入。

「積年の鬱憤を晴らすは今ぞ!」

と城門目掛け一気呵成に突撃を敢行を試みるたのでありました。

「侵入を許してはならぬ!」

と鉄砲に弓矢。投石に煮え湯等で応戦を試みる諏訪原城兵。攻め方が怯んだ瞬間を見計らい、

「開門!」

を下知し、敵を追い散らす武藤喜兵衛と高坂昌元の部隊。これを幾度となく繰り返している最中。諏訪原城手前に石川家成の本隊が到着。

石川家成:……勝手にいくさを始めよって。

と愚痴をこぼすも、

石川家成:勢いに乗った兵を止める。退却を指示するのは却って被害を増やす事になる。ならば城方が諦めるまで戦うのみ。

と体力勝負に持ち込むべく、全軍に対し突撃を指示。丸馬出し内部は、石川家成の兵で埋め尽くされたのでありました。それと並行して……。

石川家成:馬出しの中に残された物は無いか!?

と探索を指示。

「敵兵無し!武器兵糧の類も見つける事は出来ませんでした!ただ……。」

石川家成:どうした?

「馬出し内の建物と言う建物に干し草が蓄えられていました。」

石川家成:武田は馬を活かす。あっても不思議では無かろう。

「はい。ただそれでありましたら、城の内部に保管するのが自然では無いかと。」

石川家成:……確かに。干し草の他に気になる物は無かったか?

しばくして……。

「申し上げます!建物の内部からこのような物が……。」

伝令が携えて来た物を確認する石川家成。

石川家成:玉薬では無いか?先程、武器は無いと報告を受けておったが……。

「はい。その時は発見する事が出来ませんでした。」

石川家成:玉薬は鉄砲を使うのに必要不可欠。保管も厳重にされていたのであろう。しかしそんな大事な物を奴らは何故放置したのだ……。それだけ慌てふためいていたのか……。ところで。

「はっ!」

石川家成:この玉薬。何処に隠されていた?

「はい!干し草の中であります。」

石川家成:干し草の中に?

「はい!」

石川家成:玉薬は火気厳禁。そんな危険な物を引火し易い干し草の中に……。

「かなりの量でありました。」

石川家成:……そんな危険な保管方法を何故奴らが。それも守備の要とも言える丸馬出しの中に。ん!?


 その頃、光明城を退いた大久保忠世が諏訪原城近郊に到着。そこで彼らが目にしたものそれは……。

諏訪原城から噴き上がる大量の火柱でありました。

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