学院間模擬戦 盛り上げ方
「パラ以外は初めてだな、私はモルドだ。パラが話した通り魔法情報学の研究室の代表だ。興味があったらいつでも来てくれ。」
モルドと名乗る女性は赤い制服を着ていた。
「5年生ってことはストロさんやロランさんと同じってことですよね。私はアルナです。」
アルナはモルド相手に握手を申し出る。
「話はパラやストロ達から聞いているよ。優秀な魔法使いだとね。よろしく頼む。」
握手を受け入れるモルドは気持ちのいい笑顔を見せる。
「さて、仲良くなるために談笑したいのだが私の番が控えているのでここら辺で行かせて貰うよ。応援よろしく頼む。」
モルドは惜しみながら自分の番ということで場上へと向かっていく。
「1回戦も残り半分となりました!魔法学院はこの勢いに乗って勝利を積み上げられるのか?はたまたここからは騎士学院が勢いを返して来るのか?非常に楽しみとなっております。それでは見ていきましょう!1回戦の5試合目!出場選手の紹介です。」
司会は変わらず盛り上げが上手く会場の熱気は高まっている。
「騎士学院から6年生の実力者です。力、技、速さのどれをとっても1級品。表には出てこない実力者のサイファー選手です。」
騎士学院の選手を紹介する司会はあまり情報が入っていないようでわかる範囲で説明をする。
「対するは魔法学院の5年生、今回の出場者で数少ない女性です。しかし実力は侮ることなかれ、彼女の放つ魔法はあまり見た事の無い不思議なものばかりと聞いております。その魔法を皆さん見て行って盛り上がってください。モルド選手です。」
司会はモルドの事を事前情報から不思議な魔法を使うと聞いていたようで人々が興味を持つように紹介する。
「私の応援をよろしく頼む!盛り上げて見せるからな。」
モルドは観戦する人々に手を振って場を盛り上げていた。
対してサイファーは喋らずに静かに試合開始の合図を待っていた。
「せっかくの模擬戦で見ていてくれる人がいるのだから盛り上げた方が良いとは思わないか?」
モルドは静かにしているサイファーに声をかける。
「模擬戦だろうが勝負とあれば真剣にやるのが俺のやり方だ。今から負ける相手に気を使う必要もねえし好きにさせてくれ。」
サイファーはぶっきらぼうにモルドに対して勝つと言い放つ。
「確かに見ただけで実力者なのは分かる。だからと言って番狂わせというものは往々にして起こり得るものだ。それを是非わかって欲しいものだな。」
モルドはサイファーの挑発とも取れる発言に対して真っ直ぐに言い返す。
その言葉を聞いても特に気にする様子を見せることなくサイファーは勝負開始の合図を待っていた。




