模擬戦を控えて 特訓に見合った環境
「これは俺とミアナしか知らないことで鍵の解放をミアナが担い俺が鍵による解錠を担っている。どちらかがいなくては使えない特別な魔法だと思ってくれ。」
カナメはミアナから受け取った鍵を部屋の奥にある扉に向けて使う。
「そこって何か特別な部屋なんですか?」
ノアオはカナメが鍵を使っているのを見てこの部屋が特別な仕様なのかと不思議に思う。
「いや、本来は受付の着替え場所だ。しかしこの鍵を使うとこの扉の奥にあるのは…」
鍵を回して扉を開けるとそこには何と明らかに室内には見えない洞窟の中のような不思議な空間が繋がっていた。
「ここって一体どこなんですか?」
クロノが戸惑いながらカナメに質問する。
「ここは迷宮であって迷宮ではない空間だ。進んでも迷宮内には繋がっていないが迷宮と同じ環境にはなっている。そしてこの奥には広い部屋があるだけで魔獣なども現れることもない。本来は迷宮の地質や漂う魔力の調査用の部屋だ。」
カナメはここが迷宮と同じ環境でありながら迷宮内ではないと話す。
「なるほど、ここなら我々の力を解放しても問題ないですし遠出をする必要もなく特訓にはもってこいの場所と言うわけですね。」
カリスは先程まで静かにしていたがこの環境の良さを素直に褒める。
「カリスとアリス、俺はお前らを信用していない。だが、ノアオとクロノの事を考えてこの場所を提供するんだ。裏切ることなく手伝ってやってくれ。」
カナメは真剣にカリスとアリスを交互に見つめて強きの発言でノアオとクロノを頼むと伝える。
「そう簡単に信じられないし、そう簡単に信じて貰っても困る。だから貴方はこの場の長として2人の少年を見守ってあげて欲しい。私達より強いフレア相手に勝てるようになる事を信じてあげて欲しい。」
アリスは魔族を簡単に信じてはダメだと語りながらもノアオとクロノが強くなることを信じて見守ってあげてと話す。
「…わかった。俺がここでずっとついている訳には行かないから一旦…そうだな…2時間程度経過したら様子を見に来る。それまでやれることをやってくれ。様子を見に来たあとも続けたければそのまま続けて貰って構わない。」
カナメはずっとこの場にいる訳にはいかないと伝えて2時間くらいしたら見に来ると話す。
「ありがとうございます。限られた時間で兄さんとレベルアップを目指します。」
クロノはかなめに感謝をしてできる限りの努力をする気になっている。
ノアオも口には出していないがクロノ同様に特訓に向けて気合いを入れている。




