模擬戦参加のために 実力の差
練習場に来たクロノは研究の邪魔をされたことにイラついているようで特に言葉もなく準備を進める。
「優秀生は毎年レベルが違うと言われているから実際の実力は体感してみないと分からないと聞いている!だから俺に負けたとしてもそれは仕方の無いことだから気にしないでくれ!」
変わらずヒダカはテンション高く自分が必ず勝つと信じて疑わない様子だ。
「俺からは何も言わないよ。俺は立会人としてここにいるだけだからちゃんと勝負の結果を見届ける。クロノ、こいつを連れてきちゃってすまないな。」
パラは罰が悪そうな顔をしてクロノの様子を伺う。
「なんで連れてくることになったのかは知らないですけどパラさんが悪い訳では無いですから気にしないでくださいね。」
クロノは若干落ち着いた様子でパラに気にしないでくれと伝える。
「2人は友達なのだな、友情と言うものは素晴らしいものだ。この勝負が終わったら俺の友達を名乗ってもらっても構わないよ!」
変わらず強気な態度を取るヒダカに最初から全力で行くことを決めたクロノはすぐにでも戦える構えを取る。
「クロノは準備良さそうだな、それならヒダカが良ければすぐに勝負を始めるけどいいか?」
パラはヒダカに開始してもいいか確認する。
「もちろん!」
元気よく返事したヒダカはしっかりと杖をクロノに向ける。
「それでは開始!」
パラが2人に向かって開始の合図を送る。
「先手必勝!風よ、敵を吹き飛ばす嵐となれ!ウィンドストーム!」
大きな声でヒダカは魔法の呪文を唱えてクロノに向かって嵐を放つ。
そんなヒダカの魔法に対して巨大な水の玉を作り出し嵐を包み込むようにして魔法を無力化する。
「俺の魔法が!?」
いきなり水の玉が現れて魔法をかき消されたヒダカは何が起こったのか分からずに驚愕する。
「いきなり強めの魔法を放って自分のペースに持っていこうとするやり方に関しては上手いと思います。初手は警戒して動き出しが遅くなることがよくあるのでそれと比べたら思い切りがあってとても良いです。ただし、詠唱を唱える時間の分ロスがあるのでそこで対処される事は十分に有り得ますから気をつけてください。」
クロノは思い切った戦い方をすることに関してヒダカを褒めるも詠唱による時間がもったいないと話す。
「何を言ってるんだ!?詠唱は必要なものだろう?」
ヒダカはクロノが何を言っているのか理解できていなかった。
「詠唱が必要ですか?そんな事を言っているレベルで勝負しに来たなんてちょっと笑えちゃいますね。」
ヒダカとのレベル差を感じたクロノはつい笑ってしまう。




