可愛いお願い
「ミアナさん!」
元気よく声をかけられミアナは受付の中から顔を向ける。
1週間前に通い場に現れた幼い兄弟冒険者で素直で可愛らしいクロノ君とぶっきらぼうだけど心根の優しいノアオ君の2人はミアナからしたら日々の喧騒の中で安らぎをくれるオアシスのような存在だった。
受付内では密かに兄弟を愛でる会が生まれそうとか生まれないとかの話も出ている。
「どうしたの?今日の分の依頼受注は終わってるわよね?」
ミアナは平静を装いつつ2人に返事する。
「実はメルバさんとストラさんが帰ってきてまして、先程お話したんですけど昨日話したように最近迷宮の魔獣が強くなってるって話があったじゃないですか?それでC級のお2人について行って問題ないってことを証明出来ればEランクに上げてもらえるかと思いまして。」
「それで2人は連れていくのはいいけど自分たちだけでは判断できなくて、せめて受付よ人の許可をとって来たらいいって話になったんすよ。」
2人が事情を説明する。
「うーん、これは場長に相談したい内容ではあるけどそうしたらきっと場長はダメって言うでしょうね。とはいえ私としても2人に無茶はして欲しくないし、いくらC級のメルバさんとストラさんがついているとはいえど何が起こるかわからないし…。」
なるべく2人の意見を通して上げたい気持ちが強いようでかなり真剣に悩む様子のミアナだった。
「絶対に無茶なことはしないのでお願いします。」目をウルウルさせながら可愛い追撃お願いをしてくるクロノ。」
(ハッ!)
あまりの可愛さに一瞬で陥落しそうになるミアナだったがすぐに正気に戻り悩む姿を見せる。
濡れた子犬のような目で見てくるクロノにだんだん心が揺れ動くミアナだが最後の扉だけはしっかり鍵をかけているようでまだ返事はでなかった。
ノアオは仕方ないかと言った感じで1歩前にでる。
「ミアナさん貴方が心配してくれるのはよく分かります。それはすごく感謝してます。でも俺達も冒険者として先に進みたいんです。今回だけ、どうかお願いします。」
普段の強気な態度と言葉遣いとは違い年相応の幼さを見せるノアオの姿にミアナは陥落した。
「わかりました!絶対に無理だけはしてはダメですよ。それと場長には私から上手くいっておきますので、そちらは任せてくださいね。」
本気で心配する様子を見せながらミアナは2人に許可をだした。
「ありがとうございます。」
全力の笑顔で去っていく2人を見送りながらミアナはもう後悔はないと確実に場長に怒られるであろう話をしに部屋へ向かっていった。




