魔法の攻防
「こんな幼い子がこんなに強いなんてね、どうなってるのよこの国は。」
「お褒めいただき光栄です、アルナさんもかなり強いですよね。ここまでの魔法使いはほとんど見たことありません。」
クロノの強さを実感し気を引き締め直すアルナと改めて勝負を再開しようとするクロノ。
「火の力よ、相手を吹き飛ばす大きな一撃となれ ファイアインパクト」
「ウィンドウォール」
「水の力よ、相手を覆い尽くす玉となりて動きを封じよ ウォーターボール」
「クレイシールド」
再開した魔法勝負で2人はお互いの持つ魔法を繰り出し合う。
アルナは火と水の魔法を交互に繰り出しクロノの隙を作ろうとするも風と土の魔法を上手く使い分けることで完全に防ぎきっている。
「さっきも思ったけど貴方なんで詠唱をしてないの?というか詠唱してないで防げるだけの魔法を放てるの?」
完全に防がれている状況を何とか崩そうと手段を考えていながらも質問をしてくるアルナ。
「そもそも詠唱は魔法を変換する際にそのイメージをはっきりとさせるためと変換の流れの魔力を安定させるために唱えるものでどちらもできる魔法使いには必要ないものってことですよ。」
アルナから少し距離を取り攻撃の準備をしながら答えるクロノ。
「それでは次はこちらからいきますね。クレイストーム」
「火よ、壁となりて土煙を防ぐ盾となれ ファイアウォール。」
土煙をはきながら吹き荒れる暴風を火の壁を使い防ぎ切る。
「ウィンドストーム」
火の壁がが土煙を防ぎきる前に新たな風が土煙を後押しし、火を消し去ろうと吹き荒れる。
「くっ、水よ、新たなる一撃となりて風をはじき…」
「クレイアロー」
暴風を防ぐため衝撃を与えようと次の魔法を放つ詠唱を唱え切る前にクロノからの次の魔法が飛んでくる。
「きゃっ!」
クレイアローを微かにくらい水の衝撃を放つ前に詠唱が解除されたため、さらに次の土煙が飛んで来て視界が霞む。
(この技自体にダメージはほとんどない、つまりこの魔法の主な意味は視界を悪くさせること…なら次の手は!)
「ウィンドバインド」
土煙の暴風からすぐに離れると同時に風の拘束が先程までアルナがいた場所に発生している。
一瞬でも判断が遅れていたら確実に捕まっていたであろう状況に冷や汗をかきながら次の手を考える。
「今のを躱されるとは思ってなかったです、あまりダメージを与えたくなかったので今ので抑えて勝負を終わりにしようと思っていたんですけど考えが甘かったですね。」
「貴方がかなりやるのはわかるけど私もなかなかやるのよ。」
お互いに実力を認め合いながら次の魔法勝負の準備をする。
とはいえ、少し焦った様子のアルナとまだまだ余裕を見せるクロノの2人の様子は圧倒的な差が垣間見えるようだった。




