騎士学院第2学年 全力の結果
「このまま終わらせようか。」
アルスターは息が荒くなって弱っているノアオにトドメを刺すべくもう一度攻めてくる。
ノアオは次にどうするか考えが纏まっておらず、このままでは倒されると想定し守りに入るより攻める事に決めた。
腕の長さから間合いはアルスターの方があるため下手に攻めようとすれば返り討ちにされるノアオ。
そのため全力で間合いを詰めてゼロ距離で攻撃しようと最速の動きを見せるノアオ。
しかし、その攻撃を読んでいたアルスターは先程のノアオのように急ブレーキをかけて自分の間合いを掴む。
全力で攻めに転じたノアオは止まれずに自分は届かなくてアルスターからは届く間合いで攻撃を受ける事になってしまう。
反応速度の限界まで体を動かしてトドメを刺しに来るアルスターの剣を自分の剣で受けるノアオ。
何とか受けるにはとどまったが力で負けているせいでまたもや弾き飛ばされ体勢を崩されるノアオ。
もちろんその隙を逃さずに攻めてくるアルスターの突きを体を回転させることでギリギリかわすノアオ。
更に回転の勢いで反撃に打って出ようとするが先程までアルスターがいた位置に姿が見えず剣が空を斬るノアオ。
アルスターはノアオが回転した傍からその回転方向に向かって間合いを詰めてノアオの背後をとる。
今までの戦いでここまで攻められる事が少ないノアオは完全に後手にまわっており自分のペースに持っていけないせいで勝ち筋が見えなくなっていた。
「終わりだね。」
背後にまわったアルスターの剣がノアオの胴を真っ二つに切り裂く。
そのまま戦いが終わり勝者:アルスターの文字が表示される。
「これは完敗ですね、全体的に手も足も出てませんでした。これでも色々死線をくぐり抜けてきたつもりですけどここまで差が開いているとは思いませんでした。」
ノアオは何も出来なかったことに関して完全な敗北を認める。
「とは言え本気でやっていない相手に勝っても嬉しくはないのだけれど。流石に本気かどうかは分かるよ。」
アルスターはノアオが本気でやっていないと指摘する。
「…やっぱりバレてますか。ちなみに本気でやらなかった訳ではなくてやれなかったが本音ですね。色々あって見せたくない事と多分模擬では反映されないであろうと思われる技があるのでやりようがなかったんですよね。」
ノアオは魔閃を使おうとしたが模擬では反映されずに力が出せなかった事でやれる事をやるしかないと言うことで本気で戦えていなかった。
「なるほど、そんな力を使う生徒がいないから反映できていなかったんだね。これは先生に言えばなんとかなるかもしれないから、今日のは一応だけど私の勝ちとさせてもらうけどまた本気で戦えるようになったらやり合おう。」
アルスターはノアオとの再戦を約束してエリッツと共に去っていった。