騎士学院第2学年 1年ぶりの戦い
「2人とも準備は良いですか?」
エリッツは気合いの入っている2人に確認をとる。
「私は大丈夫だよ。」
アルスターは軽く素振りをして準備ができている事を伝える。
「こっちも大丈夫です。」
ノアオもしっかりと準備体操を行って問題ないと伝える。
「それでは開始!」
エリッツの合図と共に2人とも全力で攻めに移る。
ほんのわずかだけアルスターのスピードの方が早い事を見切ったノアオは急ブレーキをかけ剣の間合いから距離をとることでアルスターの首を狙った一撃を躱す。
アルスターの剣が空を切ったのを見届けてもう一度全力で攻めようとするノアオは嫌な予感を感じじ取りギリギリで攻めるのをやめた。
その瞬間にノアオの目の前をアルスターの鞘を使った攻撃が通っていく。
「これを見切られるとは流石だね。上手く行けばこれで終わりだと思っていたけどやっぱり君は恐ろしいよ。」
攻撃を躱されたものの特に焦る様子もなく間合いを取り直すアルスター。
対してノアオは今の攻撃を食らっていたら一撃で終わっていたであろう状況に冷や汗をかく。
「今のは本当に驚きました。自分の中の危険察知能力が働いて何とか躱すことが出来ました。」
ノアオも一旦下がって距離をとる。
以前とは段違いに技と速さが上がっているアルスターにどう対処するか考えるノアオだったがそんな時間を与えないと言わんばかりに次の攻めをアルスターが行う。
ノアオは足元狙いの攻撃は飛んで躱し、空中にいながらアルスターへの攻撃に転じる。
ノアオの攻撃は悠々と受け止め、さらにその剣ごと力で弾き飛ばしてノアオの体勢を崩させてそのまま体を狙った一撃を放つ。
空中で体勢を崩したノアオはアルスターの攻撃を躱す術がなくその一撃を体で受ける。
そのまま吹き飛ばされたノアオは何とか立ち上がれるものの胴に一撃を受けたため呼吸が荒くなってしまう。
「ふぅ…ふぅ…今のは…効きましたね。そのまま立ち上がれなくなるかと思いました。」
ノアオは何とか戦える体勢を整える。
「…うん。今の感触的に体を捻ってダメージを和らげたんだね。あの体勢でそこまで反応できるとは流石だよ。」
振り抜いた一撃の感触が思ったよりしっくりこなかったことに対してノアオが反応して対応したのだと理解したアルスターは素直にノアオを褒める。
その言葉を受けてノアオはアルスターが以前戦った時より遥かに強くなっている事を感じ取り、このままでは勝てないと考えて全力を尽くすために剣を握り直すのだった。