面談
「お互いに武器が破損したため、勝者なし!」
カルナが状況を見て大声で告げる。
「閃光撃さえも通用しないなんて思いもよりませんでした。」
疲れが見える中で必死に息を整えながらノアオはアルスターに近づき握手のための右手を差し出す。
「それは僕もだよ、学院に入って初めてこの技を使って倒せなかったよ。そしてすごく楽しい勝負が出来た。ありがとう。」
アルスターは差し出された右手を返ししっかりと握手をする。
「さて、これ以上お邪魔しても悪いし僕たちは見学に戻ろうか。行こうエリッツ君、クロノ君。」
2人に声をかけるとあっさりと2階へ戻っていくアルスター。
「はい。」
「兄さん頑張ってね。」
エリッツとクロノはアルスターの後について行く。
3人の姿が皆から見えなくなり2階へ上がる階段そばに着いた時、不意にアルスターがしゃがみこむ。
「大丈夫ですか?すぐに回復しますね。」
クロノはアルスターの傷ついた腹部に回復魔法をかける。
「君も気づいていたんだね。ノアオ君の最後の瞬間の一撃に。」
エリッツはアルスターの傷ついた腹部が見えやすいように手を貸す。
「驚いたよ、お互いの剣が折れた瞬間、彼は最後の最後まで諦めずに折れた刃先を持ち手の部分にぶつけて突きを繰り出して来るとは思わなかった。その勝ちへの執念が分けた一撃だったね。僕も超反応でかするだけに抑えたけどそれでも我慢するのがやっとの一撃だったよ。回復ありがとうね、クロノ君」
ノアオ相手に心の中で負けを認めながら回復を受けたアルスターはエリッツの肩を借りて見学席へと戻って行った。
「それでは最後の試験です、最後は学園長と私相手の面談となります。すみませんがノアオくんの面談の間にキール君とランド君ナイア君の実技を見ていただいてもいいですかヒューバートさん。」
カルナはヒューバートにお願いする。
「わかりました、面談の間に決まるように試験をしておきます。ノアオ君頑張ってね。」
ヒューバートはノアオへ応援をしてカルナのお願いを受けるため準備をする。
「それでは私の後に着いてきてください。」
カルナは先導しノアオを面談の部屋まで誘導する。
「そう緊張しなくてもいいですよ。面談で落ちることはほぼありません。質問も毎年一つだけですからその質問に対して素直に答えて貰えればそれで大丈夫です。」
カルナは少し固くなってる様子のノアオに優しく声をかける。
「こういうのって苦手なんすよね。言葉遣いが悪いのもわかってるんっすけどなかなか治らないし。偉い方の前で失礼ないようにするって上手くできる気がしないんすよね。」
今までで1番緊張しながらカルナの後について行くノアオ。
最後の試験の面談会場へ着いたノアオはカルナに誘導され部屋へ入っていく。
その場には大変威厳のあるお爺さんが椅子に座って待っていた。