王城にて 王子への説明
「ヨーゼフ、彼女の様子を見ていてあげてくれ。私は隣の部屋でこちらの2人と話をしているから。」
アクト王子は執事をヨーゼフと呼び、疲れの見えるミアナへのフォローをするように告げた。
「承りました。ミアナ様、なんでも仰ってください。」
ヨーゼフはミアナに真摯な態度を取る。
「ありがとうございます。少し休めば良くなりますので。」
ミアナは少し落ち着いたようでまだ顔色が悪いが少し元気が出てきたようだった。
「お茶を用意しましょう。気持ちが落ち着きますから。」
ヨーゼフはそばにある茶器を使用して美しい所作で紅茶を用意する。
「ありがとうございます。」
ミアナはヨーゼフに感謝を告げる。
「それでは2人はこっちへ良いかな?」
アクト王子はノアオとクロノを隣の部屋へ案内する。
隣の部屋ですぐに椅子に座るように言われソファへ座る2人の対面にアクト王子が座る。
「さて、早速だけど君たちに来てもらった理由はある程度理解しているだろうけど魔族について聞かせて貰えないかな?」
すぐに本題に入り聞きたいことをたずねるアクト王子。
「やっぱりその話ですよね。まずは僕からできる話をさせてもらいますね。」
クロノは前回のメルバのことそして今回のアリスとの事を話す。
その間、特に質問すること無く真剣な表情で話を聞いているアクト王子。
クロノは話の中で隠しておきたい4属性魔法や杖に仕込んだ刀については話さずに辻褄が合うように上手いこと話をした。
「と言った感じです。前回も今回も運が良かったというのはあると思っています。特に今回は十騎士であるネクロさんがいなければ死んでいてもおかしくなかったですから。」
クロノは魔族の脅威をできる限り分かりやすく簡潔に王子に伝える。
「うん、わかった。じゃあ次はそちらの話を聞かせて貰おうか。」
アクト王子はクロノの話を聞き終わりノアオの方を向いて話をするように促す。
「私はクロノ程話のまとめ方は上手くないので結構省略気味で話をしてしまいますがご了承ください。」
ノアオは自分の隠している実力と今回使った魔閃について隠しながら話をするため要所要所が省かれた内容になってしまったができる限り伝わるように話をする。
「と言った感じでこっちの話は終わりです。王子に隠しても仕方の無いことですし今後は国の協力も必要になってくるので言いますが、テスタが勇者の力を引き出すことは今後の魔族対策に大きな意味を持ちますので是非とも協力をお願いします。」
ノアオはテスタが鍵を握る人物だと話をして王子に協力を申し出る。
「なるほどな。色々気になる部分はある…2人とも隠している部分はあるのだろうがそれはまあいい。今回わざわざ2人を呼んで話を聞こうと思った理由を話そう。」
アクトは2人が話の中で隠していることがあることを理解しながらもそれを気にせずに今回王城へ呼んだ理由を話す。