王城にて 反逆者達
ノアオ達がカリスと戦っている頃、カナメとパラはルートを変えて城へと向かっていた。
「ノアオ達は大丈夫ですかね?」
パラは不安そうにしてカナメに聞いてみる。
「大丈夫さ、あれでも前に1度魔族を倒してるんだ。あいつらなら何とかできるだろう。」
どっしりと馬車の中で構えてはっきりと信頼を置いているカナメだった。
遠回りとなったが城へ着くと既に騒ぎが起こっているようで場内がザワザワしていた。
そこで目に付いたのはメタン家の長男とトピア家の長男、そしてスイッチ家の一家が王へ何やら話をしている姿だった。
「兄さん…」
パラの声を聞いてトピア家の長男が振り向く。
「ちょうど良かった。何か俺たちがこの国に対する反逆者扱いされていて困っていたんだ。お前から話をしてくれ、俺たちは国に尽くしている貴族だと。」
必死にパラから王へ説明をお願いするトピア家の長男。
「兄さん…全部バレてるんだ。兄さんとメタン様の長男とスイッチ家がこの国に対してクーデターを行うつもりで魔族に協力していることは。全ての証拠はここにあるんだよ。」
パラは風の魔法を使って王のそばにいる宰相のメタンへと書類を届ける。
「これは確かに。これだけの証拠があれば言い逃れなどできぬぞ、バカ息子。」
そこに書かれた数々の悪行を確認して自分の息子に冷たく言い放つメタン。
「思ったより驚いていなんだね、父さん。ってことはこの場は全てわかった上で貴族としての立場を廃嫡させると共に処刑の事実を突きつける茶番劇の場所って事なんだね。」
レム家の長男は理解力が高くさすがメタンの子と言える。
これで国に対して敵対するような事をしなければきっと父の後を次いで良い宰相となれただろうにと惜しまれる程だ。
「そういう訳だ。残念だが貴様らは全員国家反逆罪で処刑とする。私の息子であると言ったことは一切考慮されない、それだけの事をしでかしたのだからな。」
自分の息子に対して冷たく処刑を言い放つメタン。
その言葉にスイッチ家の人間は大慌てだがレム家の長男とトピア家の長男は何かしでかそうと考えているのか落ち着いてコソコソ何か話しているようだった。
「そいつらを全員ひっ捕らえて地下牢へ連れていけ。」
王の声に兵士が反応して全員を捕らえようと近づく。
「こうなることも想定していたよ。呼ばれたのはバラバラだが呼ばれる内容としては変だと感じていたから何かあってもすぐに対応できるようにこいつを持ってきて正解だった!」
レム家の長男は手に何か黒い玉を持っている。
「こいつは魔族から貰った強力な魔力が込められている。これを使えばこの場の全員を倒すなど容易なんだよ!」
禍々しい黒い玉を解放しようと足元へ向かって玉を投げつけた。