学院と迷宮 新たなる力の解放
「咄嗟の判断でしたが黒い風で身体を覆っておいたおかげで風自体のダメージは受けることになりましたが貴方の攻撃によるダメージは少しでも弱めることが出来ました。」
空絶斬を食らったカリスだったが魔法を使ってそのダメージを抑えることができた事によって何とか立ちあがったままでいた。
トドメのつもりだったノアオはカリスの姿を見て心が折れそうだったがテスタとアルナがいてくれるので何とか心が踏ん張れていた。
「そもそもここまで追い詰められるくらいの連携が来るとは思っていませんでした。何かしらの変化でもありましたか?」
魔族の姿になり追い込んでいたが急にトドメを刺されるくらいの攻めを見せられた事で驚いているカリス。
「それは俺が力の解放ができたからだよ。」
テスタは自分の勇者の力の解放について語る。
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「このままじゃやばい、この風から抜け出す方法を考えないと。」
黒い風に巻き込まれた瞬間に静止した世界で思考をするテスタ。
しかしどう考えてもテスタ1人の力ではどうにもできない状態だった。
「2人と協力出来れば…」
そう呟くと手の甲が光って精神がどこかへ飛んでいく感じがした。
「今代の勇者よ、貴方の想いに答え紋章が新たなる力を解放しました。そしてその解放により私がお話できるだけの力に目覚めたのです。」
天使のような姿をしたその女性の姿を見たテスタは自分が死んで天国に行ったのかと考えた。
「ここは天国ではありません。勇者の力の世界と言いますか…私は力を導くものです。この世界では言葉を発しなくても貴方の考えが伝わります。」
女性は今の状況について語ってくれる。
何も話さなくても伝わるとは便利だと考えるテスタ。
「ふふ、余裕がありますね。しかし現実の貴方はかなり厳しい状況です。ですので新しい力について教えましょう。その力は繋がる輪と言います。貴方の言う静止した世界の力を周囲の人間にも伝えることの出来るものでその力を使っている間は今のように言葉を発さなくても想いが伝わります。そして他の人も1秒を100秒に感じる思考の時間が取れるようになります。ただし、貴方1人の時のように10秒間の間使える訳ではなくて1秒間、つまり思考時間の100秒しか使えないので気をつけてくださいね。長々と説明したので時間が来てしまいました。勇者の力が開放された時にまたお会いしましょう。それではまた。」
説明をするだけして光の中に消えていったその天使のような姿の女性が消えた後には元の世界である黒い風に覆われる状況に戻ってきていた。
「さっきのが夢じゃないことを信じて…力を使います。」
テスタは繋がる輪を解放することで手の甲が更に強く光った。




