学院と迷宮 アリスの強さ
「戦う相手が変わっただけで私達と貴方達が敵であることには違いはありませんからここで倒させていただきます。」
間合いを取りながら手に持った剣を構える。
前回の時はあまり気にしていなかったがアリスの持つ剣はこちらの世界では珍しい日本刀のような形をしている。
長さも太刀と言えるものではあるがその中でも大太刀と呼ばれるほどの大きな刀の形状だ。
それを易々と片手で振り回す姿を見て魔族の恐ろしさを改めて思い知る。
「この場合は私が前に出るのは当然なのだがあの攻撃を防げるかは別だね。」
キールは2人の前に出てアリスの正面に向かうが大太刀の攻撃を防ぎ切れるかは自信が無いようだった。
「本来の相手とは違うから仕方ないとはいえど陣形とやることは変わらないんだ。何とかしてこいつを倒すしかないな。」
影から出てきたネクロはキールとクロノの間に入って戦う体勢を整える。
「なるべく守れるように僕の魔法でキールさんの補助をするのでメインの攻撃はネクロさんにお願いします。」
陣形を整えて1番後ろのクロノはキールの補助をするために指示を出しながら魔法を打てる準備をする。
「すみませんがお時間は取らせないつもりですので。」
アリスは大太刀をの重さを感じさせずに自分の腕かのように振り回しキールへ頭上からの兜割りを行う。
その攻撃に対して耐えようと剣を頭上に構えるも想像を超えた一撃の重さに耐えられずに剣ごと体を真っ二つにされそうになるキール。
攻撃の凄まじさを感じ取っていたクロノは土の腕を繰り出してアリスの兜割りの軌道を変えてキールに対してかする程度で済むようにフォローに入る。
「大丈夫ですか?あの人の一撃は見た目以上にやばいですので受けようとせずにいなすようにしてください。ネクロさんのフォローもしますので攻撃をお願いします。」
キールの様子を伺いネクロへ攻撃の指示を出すクロノ。
影に潜り地面から足元を狙う攻撃を繰り出すネクロに合わせてネクロの位置を分からなくするためにアリスの目の前に視界を遮る水玉を出すクロノ。
一瞬ながらネクロの位置を見失ったアリスに対して隙ができたと思ったネクロは足を狩ろうと試みるもネクロの剣が足元に触れた瞬間に飛び上がりほんの少しかすっただけで攻撃を躱したアリス。
その反応速度は自分の兄を見ているようでかなりやりづらい戦いになることを予期するクロノだった。
「なかなかいい連携ですね。相手が違えば確かにカリス殿では厳しい戦いになったでしょう。こういうのは人間の言葉で聞いたことがありますね、確か…怪我の功名だとか。」
アリスは3人の連携を褒めながら戦うのが自分で良かったと読み間違えた事に感謝するのだった。