学院と迷宮 メタンとパラの悲しみ
「わしの方からも迷惑をかけてすまないな。うちには息子が2人いるのだが長男の方はレム家としての心構えを教えるために厳しく教育をしてきた。だが次男の方が優秀で周りの評価も次男の方に継がせるべきだと声が上がっておってな。今まで色んなことを我慢して努力してきたのにそれが報われないことがあやつにとって耐えられない事だったのだろうな。」
過去を思い出し長男に厳しくした日々がこんな事になってしまうとは育て方を間違えてしまったと悔やむメタン。
「メタン様だけの問題ではありません。長男様は幼い頃は仲良くさせていただいてましたけど、いつからか次男様の評価が上がりはじめて悲しい顔を見せるようになっていました。幼いながら私も何かできていれば違う未来があったかもしれません。」
パラは悔やむメタンを慰めるように自分にも何かできたと考え込むのだった。
「2人とも…起こってしまったことは悔やんでも仕方ないから今から何が出来るかを考えよう。とりあえず、今回はここら辺の人間が動いているということで国とメタン様に協力いただいて奴らを罰するための情報を集めている最中だ。」
カナメは悔やむ2人を落ち着かせながら今後の動きについて伝える。
「情報に関してであればある程度は持ってきています。こちらである程度は早めに動けるようになると思います。」
パラはどこに持っていたのか分からないくらいのノートを机に広げてカナメとメタンに見せる。
「これは…さすがだな。トピア家の次男は情報収集に関して過去の人間に負けないほど優秀な人物だと聞いていたがこれほどまでとは。」
「いやー、こいつは凄いな。パッと見ただけでも手に入りづらくて欲しかった情報が机の上に広がっているな。」
メタンとカナメはパラの持っていた情報ノートをパラパラとめくるだけでその情報量に驚く。
「戦ったりは苦手ですけど情報収集に関しては他の人に遅れを取るつもりはないですから。」
自分の持つ情報に自信満々の態度を見せるパラ。
「これだけあればすぐに国に動いて貰えると思いますねメタン様。これ以上魔族に侵入される前に奴らを何とかしましょう。」
カナメは国にすぐ動いて貰うようにメタンに同意を促す。
「そうだな、これだけの情報があれば息子でも極刑は免れないだろうが…これ以上勝手な事をさせる訳にはいかんからな。すぐに伝えに行くとするか。」
メタンはカナメの意見に同意しすぐに国に動いて貰う為に部屋から急いで出ようとする。
「メタン様、お待ちください。他に彼らの話がありますから。」
カナメははやるメタンを止めノアオ達の話を聞くために場を落ち着かせる。
「おぉ、それはすまない。それではそちらの話を聞くとしようか。」
メタンは落ち着きを取り戻し席について話を聞こうとする。