学院と迷宮 パラの秘密
「こんな人の少ない教室にわざわざ連れてくるなんて、愛の告白でもしてくれるの?」
パラは冗談めいた態度でクロノに話しかける。
「わざわざパラさんを呼んだのは他でもないスイッチ家に関してです。」
神妙な面持ちで言葉を紡ぐクロノに対して変わらずの態度なパラ。
「スイッチ家って前に話してた先輩の話だよな?あれから何か進展があったのか?」
パラはクロノが何を言いたいのかわかっておらず不思議そうにたずねる。
「いいえ、あまり進展はないんです今のところは。だからこのままではダメだと思って進展させようとパラさんに声をかけたんですよ。」
クロノは真剣な眼でパラを見つめる。
「そんなに怖い顔しないでくれよ。一体なんの話なんだ?」
変わらず何も分からないという態度のパラ。
「以前パラさんが話してくれたスイッチ家とのつながりですけど他の知ってそうな方に聞いたらレム家については話に上がってきました。でも、他に繋がりのある家があるなんて話は出てこないんですよね。どうしてパラさんは他に繋がりのある家があるなんてこと知っているんですか?」
以前の会話で名前は知らないけれど他に繋がりのある家があるという話が出ていたことを覚えていたクロノはパラを問いただす。
「それは情報通ってことだからですむ話だと思うけど…」
変わらず真剣な表情のクロノに気圧されるパラ。
「違いますよね、パラさん。貴方の家がスイッチ家と繋がっているもう1つの家だからそんなに詳しかったんですよね。」
クロノはパラに確信に迫る発言をぶつける。
「…多分だけど、どう取り繕っても誤魔化せないんだろうな。」
諦めた顔をしてクロノの発言に肯定とも取れる発言をするパラ。
「でも、パラさんは味方でいてくれるつもりなんですよね?」
少し優しい顔になってパラに質問するクロノ。
「どうしてそう思ったんだ?」
パラは敵対する様子の見えないクロノに対して質問を質問で返す。
「だって本当に敵対するつもりならあんなヒント与えないですよね?レム家に関しては突き詰めて行けばどこかで情報が手に入るだろうけどもう1つの繋がりがある家に関してはパラさんから聞かない限り情報を得られる事は無かったはずですから。わざわざ教えてくれたって事はパラさんにも何か考えがあって動いているってことですよね?」
クロノは自分の中の推論をパラ相手に聞かせる。
「さすがクロノだ、今年の優秀生は違うね。」
当たり前の様にクロノについて知っているのは情報通の証拠だと言わんばかりの態度を見せるパラだった。