高レベルの攻防
お互いに致命傷にならない用に間合いの取り合いと攻守の切り替えが激しく切り替わっていく。
周りで見ている人達はどちらの方が強いのか実力を測りかねていた。
そんな一進一退の状態を崩そうとノアオがまた間合いを取り右手に木剣を持ち構える。
「先程見せた技をアルスター君相手にどう使うのかな…」
ヒューバートは双背撃を構えるノアオがどうアルスター相手に攻撃を当てるのか分からず不安そうな顔をする。
「一閃 第2撃」
その言葉と共にノアオは右側に全力で斬りかかっていく。
アルスターはそのスピードに押されながらもその技をギリギリまで観察する。
先程と同じであれば右手の攻撃はフェイントで本命は左手の攻撃のはずなのだから切り替えのタイミングを見極めれば何とか対応できると予測していた。
そう思っていたのだがノアオの剣閃に何か不安を覚えたアルスターはギリギリで気付く、これはフェイントではないと。
その瞬間全力でしゃがみこんでノアオの攻撃を躱す。
一瞬でも遅れていたらおそらく一撃で倒されていであろう状況に冷や汗をかいたが、相手の攻撃を躱した今なら隙を狙えると思い瞬時に剣を構え直し下から切り上げる。
しかし、ノアオも躱された瞬間に相手の攻撃を予測し剣の勢いを利用し全力で左側に抜けていく。
瞬間的な攻防のやり取りに誰しも息を吸うことさえ忘れていた。ただ1人を覗いて。
「まさか双背撃を躱す人がいるなんて思ってませんでした。」
そんな風にヒューバートに声をかけてきたのは2階の見学席にいるはずのクロノだった。
「すみません、誰も居なくなっちゃって暇だったのでつい降りてきちゃいました。」
そんなふうに舌をペロッと出して軽く謝罪しながらノアオとアルスターの勝負の様子を見る。
「降りて来たのは仕方ないけど、出来れば先程の技について知っていることを教えて貰いたいね。あれは右手の攻撃がフェイントの初見に聞く技という訳ではないのかな?」
先程のノアオの技についての疑問をクロノに投げかける。
「双背撃は本来ヒューバートさんの言う通り右手の技はフェイントで相手のガードがそちらに来るもしくは躱す動きを見せた相手に対応して本命の左手で一撃を決める技です。でも、そうすると1回見られたら終わりの技になってしまうので兄さんはそこを改良しました。右手の技は最初からフェイントではなくて全力で攻めて相手が何も反応しない、もしくは知っていて左手に対してガードをしてきた場合にそのまま右手で一撃を決める技です。」
しっかりと疑問に答えるノアオ。
「ちなみに普通の人はそんなことできないと思いますけど、兄さんがそれを可能にしているのは2つの強みがあるからできるようになってます。」
そんな風にノアオの強さの秘密を語るクロノだった。