学院と迷宮 魔族の目的
「そろそろ動けるくらいには休めましたかね?問題なければ迷宮から出ましょう。」
クロノが3人の様子を見て声をかける。
「はい。」
「大丈夫です。」
「問題ないです。」
3人はそれぞれ動けることを返事した。
「この階には階段までの通路に魔獣は居ないしなるべく早く上がれるように最短で進んで行きましょう。」
クロノは既に探知を終えており全員に魔獣がいないことを告げる。
「ササッと通い場へ戻ろう。」
ノアオが変わらず先頭へ立ちどんどん進んでいく。
2階、1階と探知をしながら進んで行った7人だったがカリスの去った影響なのか全くといっていいほど魔獣の反応がなかったのであっさりと迷宮から出てこれた。
「寝てる時間が長かったからもうこんな時間になっちゃったんですね。早く通い場と宿に戻らないと。」
新人冒険者が迷宮から出てきて外の暗さを見て焦る。
「アルナさんとテスタさん、新人さん達について行って貰っていいですか。出来れば場長にも今回の話を少ししておいて貰えると助かります。」
クロノは迷宮の方を見ながらアルナとテスタに新人冒険者について行って欲しいと話す。
「クロノはどうするの?」
アルナは何故かついて来ようとしないクロノにたずねる。
「僕と兄さんは少し残ります。出来れば早くここから動いて貰えると助かります。」
若干焦った様子で残る事を告げるクロノ。
その様子を見て何かを感じ取っていると判断しテスタと共に新人を通い場へと送り届けるアルナ。
5人が去った後、迷宮の出口は暗い空が広がっており静かな時間が流れていた。
その空を見ていると急に黒い風が巻き起こりカリスが姿を現す。
「まさか気が付かれて居たとは思いませんでした。やはり貴方達2人は怖いですね。」
地面に降り立ってクロノとノアオを見ながら話すカリス。
「はっきりと聞こう、お前の目的は勇者の討伐だな?」
変わらず飄々としているカリスに端的に目的を聞くノアオ。
「それを知っているということはやはりあの2人は倒されているってことですね。それも貴方達2人が相手だったのでしょうかね。」
納得といった顔をしてノアオとクロノを見てくるカリス。
「…そうですね、はっきり言いましょう。目的は貴方達の思っている通り勇者の討伐です。ここの学院とか言う場所にその候補が生まれると言う予言があったので私たち魔族が伺って様子見、もしくは候補者の殺害をしています。」
それが当然のことであるかのように自分達の目的について話してくるカリス相手に緊張感の高まるノアオとクロノだった。