学院と迷宮 新たなる脅威
「貴方達は一体何者ですかね?特にそこの2人はただならぬ気配を感じます。」
明らかに普通の人とは違う姿をした角の生えた存在が声をかけてくる。
ノアオとクロノの2人に対しては警戒をしているようだった。
「お前何者だ?」
ノアオもその存在に警戒しながらたずねる。
「私は魔族の1人、名前なんて特にないのですけど…そうですね、カリスとお呼びください。」
紳士的なお辞儀をしながら自らを魔族と名乗りその男は挨拶をする。
「魔族がこんなところに何の用ですか?」
クロノも変わらず警戒して目的を聞く。
「実は少し前に同じ魔族である2人組がこの都市に潜入していたはずなんですけど、特に連絡もなく何も起こってなさそうなので様子見がてらこの迷宮を少しいじらせていただきました。」
カリスは地面を見ながら手を向けて何やら魔力を込めているようだった。
「あんたの狙いが何かはよく分からないけど魔族というのであれば放っておく訳にはいかないわね。」
アルナは攻撃体制をとる。
「お待ちなさいなレディ、私はまだ大して何もしていないと思うのだけれど。」
地面に魔力を込めるのをやめてアルナに静止を求めるカリス。
「なんだかよく分からないやつだな、敵意はないけど人間が困るような事をしようとしているのはわかる。だからやっぱりこのままにはしておけないな。」
テスタがしっかりとした敵意を向ける。
「やれやれ、人間というのは愚かですね。魔族を相手に戦う必要のない時でさえ争いを起こそうとするのですから。それによって1つの尊い命が奪われるかもしれないのに。」
言葉を発しながら確実な敵意を4人に向けるカリス。
その瞬間にノアオが一気に距離を詰め、クロノが無詠唱の土魔法でカリスの足元を固めて逃げられないように封じ、アルナも無詠唱で火の玉をカリスの頭上から落ちてくる形で魔法を放った。
一手遅れてテスタはノアオの追撃を行うためカリスに詰めようとする。
「無駄です。」
その一言でノアオは吹き飛ばされ、クロノの魔法はかき消され、アルナの火の玉はテスタに向かって飛ぶように弾かれる。
クロノは飛ばされたノアオのフォローに、アルナはテスタに向かう火の玉を風の魔法でかき消す。
その様子を見たカリスは追撃をしようとしていた様だが一旦状況を観察することにしたようでじっくりと4人を見ていた。
「今の一瞬で大体の実力はわかった。手加減したらこっちがやられる。4人で全力で何とかするしかない。」
ノアオは飛ばされながらもクロノに体を預け体勢を整えて冷静に判断をする。
その声を聞いた他の3人は静かに頷きもう一度攻撃体勢を整える。