学院と迷宮 雰囲気の違う迷宮
すぐに準備を整え4人は迷宮に入っていった。
ほぼ毎週のペースで迷宮に入っている3人は若干いつもと違う雰囲気を感じ取っていた。
テスタはまだF級で今日になって初めてのE級への昇格だったので初めての迷宮の雰囲気に飲まれる。
「テスタは3人から離れないように。すぐに慣れると思うから慣れてくれば1人でもある程度対処できると思う。」
ノアオは落ち着いてテスタに声をかける。
「それにしてもどことなく雰囲気が違うわね。ミアナさんの話だと今日はもう浅い階には冒険者は入ってないから他の人の心配をする必要は無いって話だけど…」
アルナはひしひしと嫌な感じを肌で味わっているので少し怯えた様子を見せる。
そんなアルナに対して前に出て何が来ても対処できるようにクロノが辺りの様子を魔法で探る。
無詠唱の土と水の魔法で地面に対して水を落としその波紋の動きで周囲の存在を把握する。
「右側の部屋に魔獣がいるみたいですけど人は特にいなさそうなのですぐに下に降りた方が良いですね。」
端的に魔法の結果を報告するクロノ。
その言葉を聞いてノアオとアルナは下へ降りる階段をのある通路へ進んでいく。
テスタもその後をしっかりと着いていきクロノが周囲を確認しながら最後尾をついて行く。
2階に降りた4人は先程と同様にクロノが魔法で周囲を確認する。
いつもならすぐに状況を伝えてくれるはずが何故かクロノは煮え切らない雰囲気を出している。
「どうしたの?」
アルナが心配そうにクロノにたずねる。
「いや…もう1回…やっぱり周囲の部屋全てに魔獣がいるんだけどこれは本来なら5階で出てくるはずのジャイアントワームだ。僕たちなら問題は無いけれど何か変だ。」
険しい顔をしながら魔法で調べた結果を皆に報告するクロノ。
「テスタもいる事だし目的は新人さんの状況確認だからジャイアントワームが周囲にいるとしても最短ルートで進んでいこう。」
ノアオは階段へ続く道を警戒しながら進んでいく。
隣の部屋に入った瞬間ジャイアントワームが地中から襲ってきたがなんの問題もなく対処するノアオ。
その様子にテスタは尊敬の眼差しを向けるがアルナとクロノは本当にジャイアントワームが居たと言う事実に不安になる。
そのまま次の部屋のジャイアントワームもすぐに倒し階段のある部屋までたどり着き3階へと降りていく4人。
降りた瞬間から今までの階層とは明らかに違う雰囲気を感じ取った4人は今まで以上に警戒をする。
そんな4人に向けて声をかけてくる存在があった。