学院 研究会での情報
「今度こそどうだ!?」
変わらず新しい薬の研究をしている魔法薬研究会の部屋で何かを願うような声が聞こえる。
「これは…ダメか…」
落ち込むストロの声が聞こえる。
「今回は火傷の治療に大幅の効果が望める新薬なんだ。何十回、何百回でも失敗したって仕方ないさ。」
ガドラスが落ち込むストロ相手に慰める。
「見た感じ火傷を治す効果は特に変わらずほかの効能も見当たらないですね。火傷を治す草の効能が強すぎるみたいですけど何回か前の実験では完全に火傷を治す効果が失われていましたしバランスが難しいですね。」
クロノは薬を見ながら分析し唸る。
「1回落ち着きましょう。」
タミアがお茶を持ってきてくれた。
今回は精神的に落ち着くハーブのお茶らしく飲んだ3人はほっと一息つく。
「そういえば噂で聞いたんだけれどクロノくんなんだか貴族の生徒に絡まれたって聞いたけど大丈夫だった?」
「俺もその話聞いたな、俺と同じ学年の生徒だって話だが。」
心配そうにタミアが貴族の生徒の話を聞いてきた。
ガドラスも同じ学年の生徒の話ということで話は入ってきているようだった。
「特に問題なく終わらせました。これでもSクラスですからね。そういえばなんですけどあの貴族の人はスイッチ家ってところらしいんですけど先輩たちは何か話を聞いたことないですか?懇意にしているほかの貴族とか。」
先日パラから話を聞いたが情報収集の為に研究会の先輩たちにスイッチ家についてたずねるクロノ。
「ごめんなさい、私は貴族には疎くて。」
「私も分からないな、すまない。」
タミアとストロは何も知らないと言う。
「俺も同じ学年と言うだけで特に話は聞かないな、悪い噂ならたくさん聞いているがそれもどこまでが本当か分からないものもあるしあそこの一家については謎に情報が回らないんだよな。誰かしらが情報漏洩させないように気をつけているって噂もあるくらいだ。」
ガドラスは自分の知っている話をする。
「そうですか…ありがとうございます。」
クロノは思ったより情報が手に入らなかったことに違和感を抱きつつ感謝をする。
「そろそろ実験の続きだ。今度はこっちの草を混ぜて見るのはどうだろう?」
ストロが休憩を終え実験を再開するために新しい草を近くの棚から持ってくる。
「その草では効果が強すぎて打ち消し合いそうだけど試してみないと始まらないわよね。」
タミアはダメ元でも進めようとストロの準備を手伝う。
「クロノはこっちを手伝ってくれ。」
ガドラスに声をかけられクロノは火傷に効く草をすり潰す。
その後何度か色んな手を尽くして見たものの今回の薬に関しては成功とは言える出来のものは作れなかった。