学院 キールとの修練
通い場での話し合いから数日が過ぎ騎士学院ではテスタとアイスがキール相手に試合をしている姿がよく見られた。
「君達はいい動きをしているね。私はこれでも守りに自身があるけどそれでも破られそうなコンビネーションを見せてくれるね。」
キールはアイスとテスタの2人を相手取りながらそんな風に褒めてみせる。
「そりゃどうも、2人相手にここまでやれてる時点でかなり強いとは思いますけど。」
「そうだな、私もテスタも決して弱いとは思っていないがここまで差があるとまだまだ強さが遠いと思ってしまうよ。」
テスタは余裕のあるキールの実力を賞賛しそれにのっかるアイス。
「それでも君たちと一緒にいる彼はもっともっと先を行っているからね。私も追いつきたいと思う度に差が開くのを感じるよ。底がいつまでたっても見えないからね。」
2人の攻撃を防ぎ切りながらこの場にいないノアオの事を話すキール。
「実力差がありすぎて本当の力が見極められないなんて恐ろしいな。」
テスタはフェイントを織り交ぜた攻撃から回転斬りで守りに入るキールの剣を弾く。
「そうだな、何か怪しいとは思っていたがそこまでの力を秘めていたとは。」
剣が弾かれたその瞬間を好機と見て一気に攻め入るアイス。
アイスの剣がキールのがら空きの左胴に刺さると思ったが一気に距離を詰められその間合いを崩されることとなり剣が入る前に顔を抑えられ足元を大外刈のように蹴りあげられることで地面に背中から叩きつけられるアイス。
アイスの攻撃が入らなかったことに驚くもすぐに倒されたアイスの様子を見てキールの背後から突きを繰り出すテスタ。
その突きをアイスの顔面を抑えていた右腕の鉄鋼でいなし左手で持っていた剣を全力でテスタの右胴に打ち込む。
片腕での攻撃でありながらその威力に弾き飛ばされるテスタ。
キールは倒れているアイスにトドメを指すべく振り向いたがそこにはすぐに立ち上がり全力で剣を振り下ろすアイスがいた。
その攻撃を右手の鉄鋼で防ごうとするもその威力に右手が切られる。
そのダメージに顔をしかめるがこのまま負ける訳にはいかないと間合いを取るためにアイスを蹴って飛ばすキール。
そのまま後ろへ飛ばされたアイスだが一瞬だけキールの足を掴み体勢を崩させる事に成功する。
その一瞬を弾き飛ばされたテスタは見逃さずがら空きの胴を真一文字に切る。
そのダメージは確実に致命傷となり修練場の表示は勝者アイス・テスタとなっていた。
「まさかこんなにすぐに負けるようになるなんて君達の伸び代は凄いね。」
負けたキールは素直にアイスとテスタを褒める。
そんな中2人とは言え初めてキールに勝てた2人は全力で抱き合い喜び会うのだった。
