学院 勇者について
「ちょっと良いですか?事前にノアオから話は聞いてはいましたけどあんまり詳しい事はよくわかってない俺ってなんでここにいるんですか?」
テスタは話を聞いていたが自分がなぜ呼ばれているのか理由が分からず質問をする。
「それについてはノアオに聞こうと思っていたんだ。」
場長もテスタを呼んだ理由がわかっていないみたいでノアオに話を振る。
「…これはまだ推測の域を超えない話です。元々メルバさんとストラさんが魔族としてこの国の狙いとして定めていたのってなんだか知ってますよね?」
ノアオが少しずつ話をしていく。
「あぁ、みんなの話を聞いた上だが確か勇者が学院に存在するだろうからそれを今のうちに倒すためって話じゃなかったかな。」
場長が思い出しながらはなす。
「そうです、その話を聞いた時に勇者ってなんだかよくわかっていませんでした。とにかく強ければ良いのか人格者だったりするのか…何を持って勇者と言うのかわかっていなかったんですけど、テスタと戦って自分の中で1つの仮説が産まれました。」
ノアオは更に話を続けていく。
「兄さん、仮説って一体?」
クロノが大事な部分についてたずねる。
「勇者とは人智を超えた力を持つ魔王を討ち滅ぼすものではないかと。逆に言うと勇者の力がないと魔王には勝てないのでは無いかと思いました。」
自分の仮説を話すノアオ。
「ふむ、魔王に対する唯一の力ということかな。」
キールが一理あると言った表情でノアオを見つめる。
「そうです、そして先日のとある戦いの時に不思議な力を感じることがありました。ほんの一瞬だったので本人も気がついていないようでしたけど感じた力は只者ではありませんでした。」
ノアオがテスタの方に向かって話を続ける。
「え?それがまさか俺だって言うのか?そんな勇者なんて馬鹿なことある訳がないよ。」
ノアオの言葉を信じずに全力で否定するテスタ。
「それでテスタを連れてきた理由ですけど自分もクロノも勇者のことについては疎くて詳しそうな場長に話を聞こうと思ったのと、本当に勇者なら今後狙われる可能性も出てきますし信頼出来るメンバーに話をしておきたかったと言う事です。」
ノアオはテスタを呼んだ理由を信頼出来るメンバーに対してと告げた。
「なるほどな、俺も詳しくはないんだけど確かどっかに過去の文献で勇者についての話があったはずだな…ちょっと待っててくれ。」
場長は立ち上がり下の階の書斎へ文献を探しに行く。。
「本当にそんな不思議な力感じたのか?」
テスタは未だに信じられないようでノアオに確認する。
「本当だよ、一瞬だけどテスタの手の甲が光ってすごい力を感じた。すぐに収まったけどね。」
ノアオは自分の感じた事をはっきりと告げる。
「あったあった、勇者関連は少ないけど別の場所に避けてあったからすぐに見つかったよ。サラッと読んだところ勇者には力を発揮する際に手の甲に光とともに紋章が浮かび上がるだとさ。」
部屋に戻ってきた場長は本の内容を掻い摘んで話す。
先程のノアオの話を聞いていなかった場長以外の5人は本当の事なのかと息を飲んだ。