学院 怪しい人物の情報共有
「ここが通い場かー。」
テスタは初めて来る通い場の雰囲気を味わっている。
「テスタ君は初めてだったね。私は何回か通っているし、週末に時間あれば依頼もこなすようにしているよ。ここでの経験は自分を成長させるのにとても良いものだ。」
キールがテスタに通い場の良い所を存分に語っている。
「通い場を味わうのも言いけれど場長が待っているでしょうから早く行きましょう。」
アルナはそんなテスタとキールを放って置いて受付へ進む。
「アルナさん、場長とのお話よね。聞いているから上へ上がって貰って大丈夫よ。」
受付まで来たアルナに気がついたミアナはすぐに場長への案内を行う。
変わらず仕事のできる人だった。
5人は揃って上の階の場長の部屋へ向かいクロノが代表してノックをする。
「はい、どうぞ。」
中からいつもと変わらない返事が聞こえて来たので5人で揃って入室する。
「よく来たな。アルナとキールは見たことあるからそこにいるのが事前に言っていたテスタって男か。とりあえず座ってくれ。」
事前に5人で来ることがわかっていたので2人がけのソファと3人がけのソファが用意されていた。
2人がけのソファに魔法組が3人がけには騎士ぐみが座る。
「それで早速なんだがクロノの知っていることを教えてくれ。」
場長はすぐに本題を話してくれと進める。
「僕とアルナさんがお会いした魔法学院の貴族の生徒なんですがメルバさんの力と同じ物を感じる黒い杖を持っていました。更に魔法も黒い力を纏っていてそれもメルバさんに感じたものと同じでした。」
クロノが自分の知っていることを端的に話す。
「ふむ、クロノがそう言うならそうなんだろうけど一応魔力感受性に関してはアルナの方が高いって聞いているけどアルナとしてはどう感じる?」
クロノを疑う訳ではないが人の意見を一つだけで判断せず色んな意見を取り入れる姿勢を見せる場長はアルナにも話を聞く。
「私もその場にいましたけど同じように感じました。実際に戦ったのはクロノですけどあの魔法の威力も含めてメルバさんのものと遜色ないかと。」
アルナははっきりと場長の目を見て応える。
「ってことはその貴族の生徒が何かしら魔族が侵入してきたことに関わってる可能性が高いってことだな。」
何かを考えているようで座っていながら目を瞑り天を仰ぐ姿を見せる場長。
「ちなみに騎士学院側では特にこれと行った怪しい生徒はいないですが、その貴族の生徒を追っていけば騎士学院にも繋がりを持った生徒がいるかもしれませんね。」
キールが騎士学院側の意見を話す。
「そうですね、もしかしたら魔法学院だけの繋がりかもしれませんけどそれは追ってみないとわからないですし、何か分かれば情報共有しますね。」
アルナがキールに対して協力すると応える。