試験とは関係なく
「これは文句なしですね、ノアオ君は実技試験合格です。」
カルナははっきり試験合格を告げた。
「では次はランド君とナイア君ですかね...」
2人に向き合いながらカルナは次の勝負の準備を行う。
「待ってください、こういうことを言える立場ではないのはわかっていますが、私が2人に勝てたら私を実技試験合格としていただけませんか?」痛む体をおしながらキールはお願いをする。
「ふむ、絶対にダメとは言えませんがそれには2人の許可が必要ですね。ランド君ナイア君、君たちが良ければキール君にチャンスを与えますがどうでしょうか?」
2人を交互に見ながらカルナは確認する。
「実際これは優秀生としてはチャンスではありますが、このままで合格出来たとしても騎士学院に通うものとしていかがなものかと思います。なのでキール殿の提案を受けさせて頂きます。」
ランドはキールに向き合ってはっきりと告げる。
「確かにこのままランドか俺が勝って優秀生だと言われても納得できない部分は多いよな。仕方ないか」
そう言ってナイアもキールの提案を受ける。
「それでは先にどちらから戦い…」
「ちょっと待って貰えますか?」
カルナが試験を進めようとしているさなか、遠くからアルスターの呼び止める声が会場に響く。
「アルスター君、何かありますか?」
「このまま続けてもさすがにキール君は先程のダメージでボロボロだ、いくらなんでもやりようがないと思いましてね。そこで提案なんなんですけど試験には直接関係ないんですがノアオ君と勝負をさせて貰えないかと。それくらいの時間があれば多少はダメージ回復に勤められるでしょうし、今回は受験生が少ないので時間に余裕はありますよね?」
カルナからの問に笑顔で答えるアルスター。
「俺は構わねえよ、むしろ強い人とやり合えるなんて願ったり叶ったりだからね。」
ワクワクした様子を見せながらノアオは準備をしている。
「わかりました、一旦キール君は休んでいただいて試験とは関係ないですが私個人としてもノアオ君がどこまでのレベルなのか気になりますので。」
カルナは試合用の木剣をノアオに手渡す。
「それではどっちから先にやるかな?僕からでいいかな?」
「冗談はよしてください、アルスターさんの出番はありませんよ。」
アルスターが意気揚々と戦いの準備をしていると横からエリッツが木剣を準備しながら前へと出てくる。
少し残念そうな顔をしながらエリッツに任せアルスターは下がる。
「それでは直接試験とは関係ない勝負ですが始めます。試合、開始!」
声がかかると同時に攻めて来たのはエリッツの方だった。
エリッツの得意分野は本来相手の攻撃を受けてからのカウンターなのだが決して攻めることが苦手という訳ではない。
力や速さより技術が優れているが故の戦い方ではあるが、普通の相手なら通用するレベルの高さではある。
それが普通の相手ならば…
エリッツの技術を生かした多様な攻撃相手に押されてはいるものの木剣で受けながら、捌きながら対応を見せている。
それでもキールの時のようにノーダメージとは行かずカスったダメージが蓄積していく。
それでも滅多にいない強者との戦いに笑顔を抑えきれないノアオだった。
そんな様子を見ながらも冷静に攻撃を行っていくエリッツだったが気がつけば全ての攻撃を完全にノアオに抑えられるようになっていた。