騎士学院休日 場長のお話
「ただいまー。」
まるで家に帰ってきたかのように声をかけるアルナ。
「あ、ノアオ君とアルナさんちょうど良かった。場長が2人に話があるらしいのよ。今は場長の部屋でお仕事してるけど2人が来たら呼んでもいいって言われてるから行ってもらえるかしら。」
ミアナがノアオとアルナの姿を見つけて場長が呼んでいると声をかける。
「わかりました、上に上がって来ますね。」
「何かしらね?」
ノアオとアルナはミアナに手を振って2階の場長室へと向かう。
コンコンとノックをしたら中から元気のいい声が返ってきた。
「どうぞ。」
その声につられて元気よく中へ入っていくノアオとアルナ。
「場長、何かお話かあるって聞いてきたのですけど。」
ノアオが忙しそうに書類仕事をしている場長に向かって恐る恐る声をかける。
「ノアオとアルナか、ここまでやったらキリがいいからそこの椅子にかけてあとほんの少し待ってくれ。」
机の上に置かれている書類を確認してばちょうは2人に待ってもらうように声をかける。
ノアオとアルナは言われた通りに椅子に座って待つことにした。
ほんの数分後にキリが良くなったようで場長が立ち上がってノアオ達の方へ向かって来た。
「すまない、またせた。」
場長はノアオ達の対面に座って2人に謝罪する。
「いえ、これくらい問題ないですから。それより僕達を呼んだ理由って何かありましたか?」
待たせたことは気にせずに呼ばれた理由についてたずねるノアオ。
「それが2人が相対したストラとメルバの事についてわかったことがあってな。」
神妙な面持ちで話を始める場長。
「元々メルバとストラという人物は本当に隣の街で活動をしていた冒険者だったんだ。普通にC級として有望な冒険者だと言われて隣の街も期待していたんだがとある依頼を終えてから急にその街を去るって話になったらしい。」
更にわかったことについて話を続けて行く場長。
「それってつまりその依頼の時に本当のメルバさんとストラさんは倒されて入れ替わられたと言う事ですかね?」
ノアオが自分なりの推察を話す。
「恐らくはそういう事だ。とは言え偽物のメルバとストラが魔族で強いとは言え本物のメルバとすとらもそんな簡単に倒されるような2人じゃないって話を隣街の通い場の人間から聞いたんだ。」
ノアオの推察を肯定して話を続ける場長。
「それってその依頼が既に入れ替わるための罠で手を打たれてたってことかしら?」
今度はアルナが推察を話す。
「あぁ、それも恐らくだが。それでもその依頼に関しては特に怪しい所もなく変わった物では無かったのだが…その依頼は近くの村に出る魔物を倒して欲しいという事で警戒心が強く少人数でお願いしたいと言う事だったらしい。」
アルナの推察を肯定し続ける場長。
「だが、その村に聞きに行くとそんな依頼は出して居ないということで今はどこの誰がそんな依頼を出したのか確認しているところだ。」
悩ましい顔をしながら話を続ける場長だった。