騎士学院休日 不機嫌
「ふぅ、なんだか緊張してしまったが化粧とは素晴らしいものだな。ありがとうアルナ。」
目当ての化粧品を購入できたことで満足したようで選んでもらったアルナに感謝するアイス。
「ううん、アイスの元々の素材がすごく良かったからお化粧映えするっていうのもあっただけよ。いずれは出来てたことを早めに出来たってだけだから。」
アイスの感謝に謙遜するアルナ。
そんな女性二人の仲のいい場面を見ながら両手に荷物を持って後をついて行くノアオだった。
「化粧品を見るだけで結構な時間を使ってしまったな。私は先に戻って剣の鍛錬をしてくるよ。ノアオ、アルナ2人とも今日はありがとう。」
そこそこ時間が経っていたことにより先に戻ることに決めたアイスはノアオに持ってもらっていた荷物を受け取り2人に挨拶をする。
「こちらこそ楽しかったわ、またねアイス。」
「アイスさん、また明日。」
アルナとノアオもアイスに挨拶をして離れていった。
「さて、特にすることも無いわけだしここら辺で通い場にでも戻る?」
アルナが一息つきたいと言った様子で伸びをしながらノアオに声をかける。
「そうですね、特には何も無いでしょうけど一応戻ってみますか。」
ノアオはアルナの提案に乗っかる。
通い場へ向かう途中何やら騒動があったようで周囲の人がザワザワしていた。
周りの話に耳を傾けるとどうやら貴族の偉そうな魔法使いが杖を売っているお店の店員さんに暴力を働いたとのことで、その時に黒髪の幼い少年が店員さんを庇って一段落したとのことだった。
「なんだか登場人物に心当たりがある話ね。」
アルナが頭を抱えながらその話の人物を思い描く。
「そうですね、黒髪の少年っていうのも恐らくクロノだと思うし。」
2人は貴族の少年と黒髪の少年を思い浮かべながら話をする。
「杖の店員さん相手って事は私が余計なこと言ったからかしら…今度あったらとっちめてやらないと。」
思い当たる貴族の少年に対して敵意を向けるアルナ。
「そういうタイプは何するか分からないので程々にしてくださいね。」
ノアオはアルナがやりすぎないように落ち着かせながら声をかける。
折角のアイスとの楽しい時間が嫌な話を聞いて薄まってしまったようで通い場へ行く途中で明らかに不機嫌になっていたアルナ。
そんなアルナの姿を見て機嫌を直してもらおうと途中にあるスイーツのお店に誘いおすすめのケーキを奢ってみせる。
最初はケーキを食べながらもブツブツ言いながら貴族に対して不満を述べていたがその内にケーキの美味しさが勝ったようで食べ終わる頃にはすごく満足した顔をしていたアルナだった。
ノアオはまた1つ女の子に対する機嫌取りの方法を学んだ。