騎士学院休日 デート
「クロノはいないのね、通い場も特にこれといってないし今日はあんまりやることないなー。」
伸びをしながらアルナがつぶやく。
「そうね、通い場内も今日は溜まってる書類終わらせて行こうって感じだし私からお願いすることも特にないわね。」
変わらずテキパキと書類仕事をこなしながら同じようにつぶやくミアナ。
「俺もやることないしどうしようかな…」
クロノもいないから1人で何をしようと悩んでいるとアルナが声をかけてくる。
「それなら折角だし私とデートしない?こんな可愛い子とデートする機会なんてないだろうし。ノアオ君の紳士力を見極めてあげる。」
自分の事を自信満々に可愛いと言い放つアルナは胸を張っていた。
張る胸はあまりないのだけれど。
「何か言いたそうな顔してる?」
めちゃくちゃいい笑顔で圧をかけて来るアルナ。
「…何もないです。そうですね、折角お誘いいただいたのでよろしくお願いします。」
笑顔の圧はスルーしてデートのお誘いを受けるノアオ。
「この時間なら甘やさんならまだ空いてると思うしいいんじゃないかしら?」
書類をこなしながら2人にお店をオススメするミアナ。
「そうですね。お昼になると混みますけどこの時間ならまだ大丈夫そうですし、ありがとうございます。」
ミアナの提案にお礼を言いすぐに通い場から出てようとするアルナ。
ノアオはその様子に遅れまいと同じようにすぐに出る準備をする。
「それじゃミアナさんまた!女子トークしましょうね。」
「ミアナさんまた。」
2人はミアナに声をかけて通い場から出ていく。
「楽しんできてねー。」
若者の楽しそうな姿を見送りすぐに書類仕事に戻るミアナだった。
「3人では何回かあるけどノアオ君と一対一は初めてよね。」
先を歩き声をかけてくるアルナ。
「そうですね。最近はあんまり一緒に迷宮にも行けてないですから近況とかよくわかってないですけどどうですか?」
学院に入って一緒に迷宮に行くことがなくなったアルナの様子を聞くノアオ。
「最近は学院生活も楽しいしたまに潜る迷宮も知らない人と一緒になるけどなかなかいい勉強になるわ。クロノとノアオと一緒にいると感覚がおかしくなりがちだから色んな人と一緒にいて普通って感覚を覚え直してるもの。」
呆れたような顔をして答えるアルナ。
クロノとノアオが強すぎて一緒に迷宮に潜っても危険なく魔獣を狩れるのだが普通の冒険者は危険が少なくなるように戦い方を工夫するという経験をして、改めてやっぱりノアオとクロノの2人はおかしいと言う結論に至ったようだった。
「そんなにですかね?」
ノアオは自覚がないので不思議そうな顔をしている。
その顔がクロノによく似ているのでやっぱり兄弟だなと感じるアルナだった。