魔法学院 薬草のお茶
「その研究会ですけど私も見に行ってもいいですか?」
引き止めて来たアルナは一緒に見学をしたいと声をかけてきたようだった。
「もちろん構わないよ。口外はされていないけど優秀生を2人も我が研究会に入会できたなら胸を張ってもいいことだからね。」
アルナも見学したいということで尚更嬉しそうにするストロ。
そんなストロを先頭に研究会への案内が始まった。
その部屋は学院の中でもあまり目立たない隅の方にある場所だった。
「お、早速新入生を連れてきたのか。なかなかやるなストロ。」
黄色のラインが入った制服を着た生徒が薬草の一種のような植物に水を与えながらストロに声をかけてきた。
ちなみにストロはオレンジのラインの制服を着ていた。
「でしょ、ガドラス先輩。なかなかできる後輩を持って良かったですね。」
ストロは調子に乗った態度でガドラスと呼ばれた先輩に返事をする。
「まだ見学なんだろうから調子に乗るなっていうの。おふたりさん魔法薬研究会へようこそ。私はガドラスだ。この研究会は各学年2人ずつしか居ない小さな研究会だからあまり気を張ることもないし、見学は自由にして言ってくれたまえ。」
色んな草に水を与えながらガドラスはクロノとアルナの2人を歓迎する。
「どうも、僕はクロノです。」
「私はアルナです。よろしくお願いします。」
2人は丁寧に挨拶をする。
「クロノ君とアルナ君ね、よろしく。せっかくだし薬草で作ったお茶でも飲んでいくかい?」
2人の返答を聞く前にお茶の準備をし2人に差し出すガドラス。
出されたお茶を無下にすることもできずに2人はゆっくりとお茶に口をつける。
「「いただきます。ぶはっ!」」
2人同時に飲んでみるもその苦さに2人共同時にお茶を吐き出してしまう。
「先輩さすがにそのお茶は苦すぎて初心者に飲ませるものじゃないですよ。俺でも未だにまともに飲めないですから。こんなことで2人がこの研究会を嫌になったら先輩のせいですからね。」
2人の反応を見て出されたお茶について苦言を呈するストロ。
「えー、こんなに美味しいのになんでみんな飲めないのか...」
少しショックな様子で2人に出したものと同じお茶を平気で飲み干すガドラス。
その様子を見て若干引き気味のクロノとアルナだった。
「このお茶はこの研究会の1部なんだけど主だった研究に関してはせっかく来たんだし今から2人に見せてあげるよ。」
ストロは近くの草を何個か摘みなにかの準備をしながら2人に声をかけてきた。
何を見せてくれるのか期待しながら待つクロノとアルナだった。