魔法学院 強者の存在
「そんな馬鹿げたレベルの生徒がいるというのか?誰なんだそれは一体?」
恐らく次に仕掛けてくるであろうことを予測してすぐに詠唱できるように体勢を整えるトラビス。
「いつか私に勝ったら教えてあげる。風よ 相手を吹き飛ばす一撃となれ ウィンドインパクト」
これで今回の勝敗が決すると思い最後の詠唱のつもりで魔法を発動するアルナ。
「それはまた遠い話になりそうだ。水よ 我を風の一撃から守る盾となりて防ぎたまえ ウィンドシールド」
持てる力を使い詠唱して風の盾を発動するトラビス。
しかし無惨にもその盾は一瞬で吹き飛ばされ衝撃がトラビスを襲った。
その勢いに吹き飛ばされ壁に叩きつけられたトラビスは明らかに致命傷のダメージを負っていた。
次の瞬間練習場の壁に勝者:アルナの文字が表示された。
練習場での戦いのダメージは実際にはそこに発動している魔法が受けるため勝負が終われば2人共に無傷で出てくる。
「完敗だ。それにしても未だに信じられないよ、君より強い1年生がいるなんて。」
トラビスは素直に負けを認め手を差し出してくる。
「世界は思ったより広いってことよ。これから同じクラス同士仲良くやりましょう。」
アルナはトラビスの手を握り握手する。
「いやー、2人共すごいな。実際トラビスも言うだけあってかなりレベル高い方だと思うけどそれを圧倒するアルナはやばいな。」
2人の戦いを見ていたカイナは興奮気味に声をかけてくる。
「う、うん。こんなにレベル高い人達と一緒に学べることが嬉しいよ。」
エンズも若干興奮気味のようだった。
「今年の1年はなかなかやるな。」
「アルナとかいうあの子欲しいわね。」
「トラビスとかいう方も鍛えがいありそうだな。
」
周りで見ていた上級生達も先程の勝負を見てなかなかいい評価をくれているようだった。
「お疲れ様です。基本的な魔法だけであれだけやれるとは。特にあの数の矢は凄かったですね。特訓の成果がしっかり出てますね。」
周りに聞こえないように小さな声でアルナに話しかけるクロノ。
「そうでしょう。まだまだ遠いとは思ってるけど必ず追いついてやるんだから。」
褒められて嬉しかったのが笑顔で返事するアルナ。
「しかし、アルナ君が言うように強い生徒がいるならその生徒はSクラスでは無いのか?今残っているカイナ、エンズ、クロノは誰もがそう強いとは思えないのだが。」
未だにアルナより強い人がいるということで悩んでいるトラビス。
そんなトラビスを放って置いて今日はそれぞれ宿に戻るために解散となった。