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来国の音  作者: ウメよん
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奇貨おくべし①

宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。

宜しくお願いします。

 「何でこんなにいやがる」


「さあな、自分達には関係ないと思っているか、知らされていないのか。いずれにしても貴き者達の考えは俺達には測れないし、知りたくもない」


既に外壁は抜かれているのだ、ここに敵が殺到するのは時間の問題でしかないが、裏城の中は慌てる様子が無いように見える。煌びやかな衣装を身に纏った者たちは、物々しく走るカイとガルーダを見はしても、誰も気に留めていない。


「俺達が稼いだ時間は何だったんだよ」


「民の為だろう。こいつらの為じゃない」


「んなこたあ、わかってる! そうじゃねえ」


ガルーダは粗暴な振舞いをするが優しい男だ。逃げれば助かるかも知れない彼らに腹を立てている。日頃はカイの方が優しいと思われているだろうが、カイはこれだけいれば時間が稼げるとしか考えていない。罪人軍にも酷な命令を出した。


「どけっ」


階段を静かに上る一団をガルーダが威圧する。内城の中には我関せずが大勢いるが、それでも目端の効く奴等は既に脱出している。皇子や皇女も脱出はしているだろう。しかし全員ではないはずだ。

今上帝の好色ぶりは世に鳴り響いている。



ーーーーー


「本陣を横撃、、」


リュカは意味を測りかねた。これまでの指揮は敵の弱い部分である増援軍ばかりを狙っていた。これまでの指揮ではない。リュカはそう感じた。既に外壁に取りつかれており、この状況であれば野戦でひっくり返りはしないだろう。唯一、敵の本陣を突く事が打開策となるだろうが、本陣はしっかりと固められている。

本陣を狙うのは戦術としては合っているが、それは本陣をつける戦力がある事が前提なのだ。先程までの勝ち目が見えるものとは違う。


「私に見えていないだけでしょうか?」


「いや、ここまでです。私は離脱し伝手を頼ろうと思います」


「てば、先生と共に行きます」


「昨日の夜も言いましたよね。教える事はもう無いのです、良い機会です。一時代が終わりを迎えようとしています。リュカはここからは自分で歩くべきです」


「昨日も言いました。私は先生とともに、、」


「話は終わりです。頃合いを見て離脱しなさい」



----------


 ヒックスとライリーの軍が殺到している、城を囲む内壁は外壁の堅牢さとは違い力押しで突破できる。外壁の正門を破ったヒックスの軍が一直線に内壁の門に向かっている。


当初の目的は、帝都を奪取し腐敗の元凶たる帝の取り巻きを一掃する事であった。今のヒックスやライリーがそこで思い留まれるだろうか、彼らが次なる帝となる事に打ち勝てるだろうか、幼い頃から兄弟の仲は良かった。ヒックスやライリーをはじめ弟妹達と国の行く末を語り合った事は数え切れないほどだ。だが、この軍を起こしてからの二人はリリックの知る二人では無いように思える。


普通であれば帝は脱出しているはずだ。外壁を抜くのに時間がかかりすぎてしまった。しかし、帝がいるのであれば2人よりも早く見つけなければならない。


ヒックス軍が門を破り内城に雪崩れ込んだ。内城は帝が政務をなす表城と生活区域である裏城で出来ている。ヒックスが正門をぬいた分、先行している。どちらかを選ぶしかない。


ーーーーー


 「カリードの旦那、そろそろ逃げましょうや」


「逃げるなら1人で行け、止めるはせん」


「1人で逃げたらサイファさんに殺されます」


「サイファが御用役にしたんだ。サイファの目が節穴って事だ」


「そうですね! とはならないですぜ」


「そうか? 任命するとはそういう事だ」


「そういうのは頭の良い人同士でお願いしたいもんです。『ヒースは俺より後に死ぬことは許さん!』とかの方が燃えるんでずがね」


「好きにしろ。おれはこのまま帝都に留まるぞ」


「やっぱりですか、そんな気はしましたよ。とりあえず飢えない様に食べ物をなんとかしますかね」


ーーーー


 カイが目の前にいる3人の皇女達を見定める。3人は歳の頃を見るに姉妹の様にも見える。であれば、背の高い長女だけを連れていくべきなのだが、真ん中の子が前に立ち2人を庇いながら立っている。その様を見ながら、今は判断せず3人ともに連れて行くべきだとカイは思った。


「ここはあなた達が来るところではありません」


真ん中の子が声をあげる。カイが目をやるとガルーダがわざとらしく声を荒げた。


「既に城は落ちてんだ。俺達に着いて来ないなら、蛮族の軍に殺されるか、慰み者になるだけだぞ。それでも俺たちに助けられたくないのであれば、それまでそうしとけ」


鎧を纏ったガルーダが荒々しく言えば、相手は怯みそうなものだが、声こそ出さないが気丈にも睨みつける視線はそのままだ。


「私達は先程まで帝都の守備をしておりましたが、力及ばず申し訳ございません。蛮族が迫っております。願わくば高貴な方々を救いたいと思い、このような姿のままで馳せ参じた次第でございます。声を荒げた事は謝罪いたします。しかし、時間はございません。どうか私達に同行いただきますように」


カイは片膝をつけ首をたれると手を差し出した。







読んで頂きありがとうございます。

誤字や脱字、意味不明な文章に説明不足なところなどがあったら、是非教えて下さい!


また、評価を頂けると励みになります。宜しくお願いします。



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