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短編 ヤンデレ風味

毒蛇と少年

「ねえ、僕を食べる気になった?」

「まだ」

「もう、まだなの?早く食べる気になって」

「はあ、そんなに死にたいなら、ここを出て行けばいいだろ。すぐに、その辺の魔物がお前を食べてくれるだろうさ」

「嫌だよ、僕は君に食べて欲しいんだ。君の養分になりたいんだよ」

「食べ物なら十分足りてる。そもそも、俺はそんなに食べなくても生きていけるんだ」

「嘘だ。必要な分がなかったからこの間街を襲ったんでしょ?」

「…なんで知ってんだ」

「僕がそこに居たからだよ。僕はその時食べてもらえなかったけど」

「…普通は街を襲った魔物のとこに行くなら討伐のためだと思うんだがな」

「僕は違うの!もう、どうしたら食べてくれるの?」

「はあ、なんでそんなに俺なんだ」

「君がとっても綺麗だと思ったからだよ。今まで生きてきた中で一番!本当だよ」

「お前はそんなに生きてないだろうが」

「そうだけど分かるの!僕はとっても幸せなんだよ、君を見つけられたんだから」

「…それで、なんで綺麗だと思ったから食べられたいになるんだ」

「それは、僕が綺麗じゃないからだよ。人間は誰でも綺麗になりたいと思うものだろう?でも、僕はどうやったって君にはなれないから、君の一部にしてもらおうと思ったんだ。いい考えだと思わない?」

「はあ、…わかった」

「やっと食べてくれる気になった⁈」

「いや、俺は一生お前を食べない」

「…なんで⁉︎」

「食べる気にならんからだ。だが、まあ飼ってやらんこともないぞ?」

「飼う?」

「ああ、俺のものになるということだ」

「君のもの?つまり、君の一部?…それは、それで、いいかもしれない。食べられるのが一番だけど」

「そう、俺の一部だ。言っとくが、俺は絶対にお前を食べんからな」

「そっか、絶対なのか。なら、君に飼ってもらおうかな。でも、僕が死んだときは、僕を食べてね?」

「…まあ、お前が死んだ時ならいいだろう」

「絶対だよ!」

「ああ、約束しよう」


これは、一匹の巨大な毒蛇と、それに魅入られた少年の話。または、ちょっとおかしな少年と、そんな彼を可愛がりたい毒蛇の話。

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